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C.Cレモン「忍者女子高生」爆発ヒットで分かったバイラルムービー成功の5つのポイント

マーケティング 2014.07.22

C.Cレモン「忍者女子高生」爆発ヒットで分かったバイラルムービー成功の5つのポイント

2014年7月猛暑が続く日本列島に衝撃的な動画が拡散されました。
日本の熱海を舞台に、女子高生2人が忍者のように“追いかけっこ”する映像が世界的にシェアされ公開1週間で再生回数400万に迫る記録をしています。
サントリーの炭酸飲料「C.Cレモン」が仕掛けた動画マーケティングです。
今話題となっているバイラルムービー(バイラルCM,バイラル動画)です。
※バイラルムービー:インターネット上の口コミ(ブログ、SNS、BBSなど)で話題となることを目論んで制作され、ネット配信される動画マーケティングCMのことである。

ストーリー

女子高生2人がお互いをスマートフォンで撮影し合っている内に追いかけっこに。
側転やバク転や、後方宙返り、飛び込み前転、次第にアクションが過激になっていく。
学校の排水管を登り、校舎5階から飛び降りる、「まきびし」「変わり身の術」「けむり玉」などの忍法も随所で披露。
神社ではお辞儀、城の屋根を走り抜け、最後は天守閣からのダイビング。海辺で追いつき、最後はCCレモンで乾杯。

 

以下サントリーの炭酸飲料C.Cレモン「忍者女子高生」が今後のバイラルムービーのお手本と言える構成で成功を収めたポイントを5つ挙げさせて頂きます。

(1)素人投稿的演出

今回女子高生同士がスマートフォンで撮影し合っているところからストーリーが始まります。
当然現場でスマートフォン撮影されたわけではないのですが、
この導入部分を作ることで視聴者側の“スマホで撮影→素人によるアップ→ハプニング映像”としての期待値を一気に高める効果的で端的な演出となっています。
スマートフォンやGoProで撮影された素人動画がyoutube上で多く再生されている現状をしっかりと捉えた上での演出であると考えられます。

cclemon_1

スマホ撮影っぽい手ぶれの激しい演出

 

(2)ポジティブな“驚き”

バイラルムービーの制作にあたって動画内で驚きを与えることが必須です。
追いかけっこをしている内に、校舎の屋根を走る、排水管を登るといったシーンで徐々に視聴者の緊張感を高めていきます。
5階から飛び降りた友人を、飛び降りる目線で体感することができる点でこの動画の沸点を迎えるよう設計されています。
ここで重要なのは、バイラルムービーを構成する上でポイントとなる“驚き”が、“カッコ良さ”というポジティブなストーリー転調にて設計されている点です。
昨今観られる“ビックリさせるだけ”“驚かせればOK”のバイラルムービーでは企業プロモーションとしてネガティブなものになってしまい意味がありません。
“驚き”を“感動”に繋げるストーリー転調が企業プロモーションとしてのバイラルムービー成功のポイントとなります。

5階から飛び降りる瞬間、手をフレームインさせる細やかさ

 

(3)無言語・無音声での成立

言語による説明を必要としないストーリー展開であるため国境を問わず、多くの視聴者へ派生、グローバルに受け入れられる動画に仕上がっています。
また音声関係なく楽しめる動画となっていることで移動中や仕事の合間など多岐にわたる視聴環境に対応し、再生数を稼ぐことに繋がったと想定されます。

(4)youtubeトレンドに沿ったコンテンツ切り口

パルクール(フランス発祥の運動方法で、走る・跳ぶ・登るなどの移動動作で体を鍛える方法)動画を、女子高生忍者というストーリーに置き換えたことは大きな意味があります。
youtubeでヒットする動画には一定法則があり(スゴ技、ドッキリ、口パク、事故、感動、可愛い、近未来etc)、パルクール動画自体は以前から世界中でyoutube上にアップされる人気コンテンツのひとつです。
そのため今回の女子高生忍者は再生回数を集める予測が立ち易いものであったと考えられます。
バイラルムービーの企画段階においてyoutubeでの人気傾向にインスパイアされることは重要です。
元ネタとして受け入れられる土壌が備わっているコンテンツを切り口を変えて設計することで、成功確率をグッと引き上げることができるものと考えられます。

世界中で再生されているパルクール動画

(5)企業色の排除

C.Cレモン企画が再生回数を伸ばした理由として「最後まで広告だと思わなかった」というコメントが多かった点も重要です。
視聴者心理として“スゴい動画を見つけた!”という気持ちが拡散というアクションに結び付くため、企業によるPR色が動画の端々から感じられると視聴者は企業側の企画意図を汲み取り、人々に拡散することを躊躇います。
今回は動画の最後に女子高生2人がC.Cレモンで乾杯するというシーンでのみ商品が登場します。
“誰が?”“どんな目的で?”制作されたものか、視聴者が興味と疑問を抱えたままエンディングを迎える展開となっていることが爆発的なシェアを発生させる動機となっています。

動画の最後に3秒程度だけ表示

 

テレビCMからウェブCMへ予算移行が見受けられる企業プロモーション。
今回のサントリーの施策は今後のウェブCM及びバイラルムービー制作の手本となるべき要素が詰まった事例でした。

更に世界的に人気のある“NINJA”を題材とし「まきびし」「変わり身の術」「けむり玉」といった忍法や「城」「神社」「お辞儀」といった日本文化を動画内に盛り込むあたり、グローバルな視点での展開を視野に入れ、ディテールまでこだわり尽くされた動画でありました。

今後動画プロモーションの参考となる要素の詰まった作品であると感じます。

サントリー C.C.レモン 500ml×24本

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