マーケティングオートメーション(MA)とは何か?具体的な機能と活用方法

マーケティング 2017.08.25

2014年頃より、アメリカで誕生したマーケティングオートメーション(Marketing Automation、MA)が日本においても注目されるようになり、日本国内だけでも30程のツールが提供されています。

そこで今回は、マーケティングオートメーションの「具体的な機能」やその「活用方法について」ウェブマーケティングの担当者が知りたい情報をまとめてみました。

皆さんはマーケティングオートメーションとはどのようなものかをしっかり理解できていますか?

 

1|マーケティングオートメーション(MA)の概要

1-1|マーケティングオートメーションとは?

「マーケティングオートメーション」とは、見込顧客(リード)の獲得から営業部門に引き渡すまでのマーケティングプロセス・業務を、部分的に自動化することで効率化する手法またはツールを指します。

従来は人の手で行っていたマーケティングにおけるお決まりの作業である、リストからのセグメント生成やメール配信などの時間を要する作業自動化することで、時間短縮とコストダウンを目指すものです。さらにリードのオンライン・オフラインの行動を元に、クリエイティブや訴求メッセージを動的に表示するなど、One to Oneのマーケティングを効率良く行えるようにもなります。

マーケティングオートメーションの大きな目的は、成約確度の高い「商談」を作り出し、それを営業部門に渡す「商談創出」です。これによって、失注となってしまう商談を減らし、1案件あたりの獲得単価を下げることでマーケティング全体のコスト削減といった効果を得られます。案件獲得単価が低下するは、成約しやすい商談に絞って営業を行うことによって、たくさんのリードを人海戦術で攻める必要が無くなり、人件費を抑えることができるためです。

 

1-2|マーケティングオートメーションの起源

元より、マーケティングオートメーションの考え方はアメリカで生まれました。隣の都市まで飛行機で移動する必要のあるアメリカでは、非対面での営業に関心が集まり、ネット会議やチャットツール、インサイドセールスの技術が進歩してきました。さらに、お客様一人ひとりに合わせたアプローチを行いたい、定形的で膨大な時間を要する作業はできるだけ自動化したい、といった要望が出てきました。これがマーケティングオートメーションの始まりです。

 

1-3|マーケティングオートメーションが必要な理由

日本においては、以前は訪問営業が主流でした。しかし、市場飽和、経済状況の変化、購買プロセスの変化に合わせて新規顧客の開拓を行うためにマーケティングオートメーションが活用されるようになりました。特に、購買プロセスの変化において、以前は店に行って欲しい物を探していたのに対して、今はまずネットで検索し情報を得ることが当たり前になっています。つまり、商品を購入する可能性のある顧客がネット上に現れるということです。

このお客様になるかもしれない人たちの情報を蓄積するために、マーケティングオートメーションが最適なのです。

出典:総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)

 

 

2|マーケティングオートメーション(MA)の機能

具体的な機能としては、6つをクラウド環境下で実現します。

  • リード管理(顧客管理)
  • 行動ログ
  • メール配信
  • Web解析(トラッキング)
  • スコアリング、シナリオ(自動化)
  • フォーム作成

行動ログで記録できるのは、セミナー出席や展示会来訪者などのオフラインの情報だけでなく、オンライン上でのアクション、つまりWebページの閲覧やメールの開封、コンバージョンの有無などにまで至ります。

メールの配信も機能の一つであり、ステップメール機能とシナリオを活用して、資料請求の申し込みを頂いたお客様にお礼のメールを、三日後に商品の紹介メールやクーポンメールを、といったようなことを自動で実行させることができます。

シナリオの中で、商品の紹介ページを開いたら1点、資料請求の申し込みページを開いたら2点といったように点数を振り分け、ある点数を超えたらホットリードとしてセグメントするスコアリング機能も、マーケティングオートメーションの重要な役割を担っています。

また、メールマーケティングだけでなく複数チャネル(SMS、電話、LINE、ブラウザプッシュなど)にも対応でき、見込顧客に優先順位をつけてホットリードの絞り込み、新規顧客獲得のためのマーケティング活動から営業連携までのプロセスを自動化できます。さらに、CV促進キャンペーンやリード育成シナリオ効果検証を行うことで、課題や注力すべき施策をはっきりさせることができます。

 

3|マーケティングオートメーションの具体的な活用方法

マーケティングオートメーションの自動化することができるのは、

  • ①見込顧客の創出(リードジェネレーション)
  • ②見込顧客の育成(リードナーチャリング)
  • ③見込顧客の分類(リードスコアリング、リードクオリフィケーション)
  • ④見込顧客の管理(リードマネジメント)

の4つです。

 

①見込顧客の創出(リードジェネレーション)

①見込顧客の創出(リードジェネレーション)は、従来はリスト収集やリスト獲得と呼ばれていたもので、リードの候補となる人の情報を集めて管理するものです。ただし、マーケティングオートメーションによって①見込顧客の創出を効率化することはできますが、Webサイトからの問い合わせや資料請求の件数を増やすといったことはできないことに注意しましょう。あくまでも、リード「管理」の機能なのです。現時点でのリード数が十分でない場合には、外部からのリード獲得施策にどの程度の予算をかけるのか、Webサイトからの流入を増やすべきかなどを検討しておかなければなりません。

 

②見込顧客の育成(リードナーチャリング)

②見込顧客の育成(リードナーチャリング)は、リードのニーズに合わせて、必要な情報を適切なタイミングで届けることで、購買意欲を刺激しホットリードにまで育成するものです。②見込顧客の育成について注意しなければならないのは、配信するコンテンツ作成やシナリオを組む作業は自動化できないという点です。業種、企業規模などに合わせて自社の強みを最大限アピールできるコンテンツを考えたり、商品一覧を掲載したメールの特定の商品をクリックした人には、次のメールでその商品のランディングページに誘導する、といったシナリオを構築したりすることが必須になります。

 

③見込顧客の分類(リードスコアリング、リードクオリフィケーション)

③見込顧客の分類(リードスコアリング、リードクオリフィケーション)は、②見込顧客の育成の段階でオフライン・オンライン上での行動を参考に、購買意欲の可視化を実現する「リードスコアリング」(例:メールを開封しているなら+1点など)と、リードの属性情報(企業、役職、業種、年齢など)に合わせてセグメント化する「セグメンテーション」(例:自動車の販売店であれば、試乗の申し込みをしたかどうかなど)の二つの機能を用いて行われます。当然、スコアリングの評価基準を定める作業や自社のホットリードの定義、各セグメントに配信するコンテンツ作成と選定は自動化できません。

 

④見込顧客の管理(リードマネジメント)

④見込顧客の管理(リードマネジメント)とは、展示会で集めた名刺をデータ化して取り込んだり、名刺には記載されていない企業規模、業種、役職、電話番号などの情報を取得することで、リード情報を管理するための顧客データベース(CRMと同様)を作る機能です。また、既存のCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)と連携して、営業部門にリード情報を引き渡します。上記により、今まで活用し切れていなかったリード情報を有効活用できるようになり、マーケティングと営業の連携・コミュニケーションを円滑にすることができるようになります。

このように、マーケティングオートメーションを導入しただけでは、すぐに効果を発揮しません。最初に、自社のリードの抱える悩みやニーズを調べ、どのようなコンテンツを用意するべきか、どのようなクリエイティブが購買意欲を刺激するのか、どの段階でホットリードとして営業部門に引き渡すかを見定め、実際に運用しつつ調整していく必要があります。

 

4|まとめ

ここまでで紹介したように、マーケティングオートメーションは見込顧客のスコアリングにより購買意欲を可視化し、マーケティング部門から営業部門まで一貫してリード情報を管理することで、作業の効率化を図ることができます。しかし、全てを自動化できるわけではなく、使いこなさないと無駄になってしまうばかりか、各部門の負担になってしまう危険性もあります。マーケティングオートメーションを導入する際には、どの機能を使って何を実現したいのかを明確にし、マーケティングオートメーションの運用に適した「人員」を確保した上で行うべきなのです。

 

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この記事を書いた人

田口雄貴

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