CPCとは?PPC・CPVとの違いや仕組み、算出方法などを詳しく解説

マーケティング 2025.04.30

CPC(クリック単価)は、広告の費用対効果を表す指標の1つです。CPCは、「広告出稿時の費用対効果は?」「広告出稿前に効果の目安を立てたい」など、広告戦略の策定に役立ちます。

今回は、CPCの基本的な考え方、CPM・CPV・CPA・CPI・CPO・ROASといった類似用語との違い、使い方などを解説します。

CPCとは?

CPCとは「Cost Per Click」の略称で、Web広告1回クリックごとの発生費用を指します。

「クリック単価」とも呼ばれ、リスティング広告(検索連動型広告)やディスプレイ広告、SNS広告など、クリックを伴うWeb広告で使用されています。CPCは、次の計算式で算出できます。

たとえば、Web広告のクリック数が2,000回、広告費用が20万円の場合、CPCは次のように100円になります。

広告費(20万円)/ Web広告のクリック数(2,000回)=CPC(100円)

CPCは比較的簡単に算出できますが、PPCやCPV、CPMなどWeb広告で使用される指標はほかにもあり、使い慣れていないと混同する可能性があります。CPC以外の費用対効果を表す指標もあわせて確認してみましょう。

PPCとの違い

PPCとは「Pay Per Click」の略語で、Web広告がクリックされるごとに発生する課金方式の1つです。

CPCと似た性質ですが、PPCが「課金方式」を表しているのに対し、CPCは「単価」を表している点が違います。

「費用20万円のPPC(クリック課金型)広告が2,000回クリックされると、CPC(クリック単価)は100円」と計算できます。

CPMとの違い

CPMとは「Cost Per Mille」の略称で、Web広告1,000回表示ごとの発生費用を指しています。「インプレッション単価(インプレッションとは:広告の表示回数)」ともいわれます。CPMは次の計算式で算出できます。

広告が表示され、興味を持った人が広告をクリックする流れなので、インプレッションは多いほど良いです。逆にCPM(インプレッション単価)の場合は、低いほど費用対効果に優れていると判断できます。

しかし、インプレッションが多く、CPMが低くても、広告のクリックにつながなければ意味がありません。

CPMが低い際、CPCが高いなどの理由で、広告のクリックにつながらない場合もあるので、常にCPMとCPCはセットで分析をする必要があります。「広告のユーザー層が間違っているかも?」とのように、広告出稿を行うユーザーの特徴を日々検討することが重要です。

CPVとの違い

CPVとは「Cost Per View」の略称で、動画広告視聴1回ごとの発生する費用のことです。

動画を見る際は再生マークをクリックする必要があるのでCPCと混同しやすいですが、CPVは「1回の視聴」に関する費用です。

CPCはクリックの指標なので、CPVとは違い動画をクリックした回数、動画のリンクやボタンをクリックした回数によって算出する点で異なります。

CPVは次のような計算式で算出できます。

費用の発生基準は「広告動画がすべて再生されて費用が発生する」「再生秒数によって費用が発生する」など、配信媒体によって異なります。

たとえば、YouTube広告の場合は「ユーザーが動画を30秒視聴するか、その前に広告をクリックする」という条件で費用が発生します。

CPAとの違い

CPAとは「Cost Per Acquisition」または「Cost Per Action」の略称で、「顧客獲得単価」または「成果単価」を表す指標です。

「1人の顧客」または「1件の利益につながる成果(コンバージョン)」を獲得するのにかかる費用を表します。

成果は広告によって購入したり、注文したりする場合があります。問い合わせや資料請求を成果とする場合もあります。

このように広告から何かしらの目標達成をした場合の1件あたりの単価を表すのがCPAです。

CPI(Cost Per Inquery)や、CPO(Cost Per Order)などはCPAの一種です。

 

たとえば、広告から10個商品が売れ、広告費が20万円の場合、CPAは次のように20,000円だと算出できます。

広告費(20万円)/ 広告からの成約数(10個)=CPA(20,000円)

これは、1つの商品を売るために使った広告費用が20,000円という計算になります。

もし、上記の様に20万円の広告費で10個しか売れなかったのが、広告改善により20個売れるようになったらどうなるでしょう。

その場合、CPAは次のように10,000円と算出できます。

広告費(20万円)/ 広告からの成約数(20個)=CPA(10,000円)

これは、1つの商品を売るために使った広告費用が10,000円という計算になります。

このように、CPAは少ないほど良く、費用対効果が良いと判断できます。

広告の費用対効果を簡単に出すのはCPAで十分ですが、広告の費用対効果をより良くするにはCPMやCPCとセットで分析するのが重要です。

そうすることで、改善ポイントが分かりやすく、改善も効率的に行えます。

CPIとの違い

CPIとは「Cost per Inquiry」の略称で、資料請求や会員登録、問い合わせでのユーザーの反応を1件獲得するのにかかる費用のことで、CPAの一種です。

CPIは次のような計算式で算出できます。

Web広告のゴールは、その時点で売上や利益があがる商品やサービスの購入だけではありません。その一歩手前の資料請求や会員登録、お問合せをゴールに設定する場合があります。

高単価な場合や顧客教育が必要な場合は、商品・サービスが購入に繋がりにくいため、このゴール設定が使われます。

つまり、見込み度合いの高い顧客を1人得るためにかかる広告費がCPIです。

CPAと同様に広告の費用対効果をより良くするには、CPIだけではなく、CPM、CPCと一連のセットで分析することが重要です。

CPOとの違い

CPOとは「Cost Per Order」の略称で、新規顧客から1件の受注を得るためにかかる費用のことです。

CPAの一種であり、次のような計算式で算出できます。

使った広告費でどれぐらいの受注につながったかを見るならCPOだけで十分ですが、広告の費用対効果より良くするには、CPOだけではなく、CPMやCPCと合わせてセットで分析することが重要です。

ROASとの違い

ROASとは「Return On Advertising Spend」の略称で、広告費に対してどれだけの売上が得られたかを示す指標です。「広告費用回収率」「広告の費用対効果」などとも呼ばれています。

次のような計算式で算出できます。

CPCは広告クリックをベースとした指標である一方、ROASは「広告費がどれだけの売上を生み出したか」がわかる指標です。

ROASの数値が大きいほど、広告の費用対効果が高いことを意味します。

そのためROASは、異なる広告媒体、広告出稿方法の費用対効果の比較に使われる指標です。

たとえば、複数の広告媒体で広告出稿をしている場合、各広告の成果指標は異なるため、費用対効果が良い媒体と悪い媒体が比較しづらくなります。

ROASは、広告ごとの費用対効果を比較し、費用対効果の悪い媒体をやめて、効果が良い広告に力を集中させるなどの判断ができます

【広告の種類別】CPCの算出方法

CPCの算出方法は、広告の種類やプラットフォームによって異なりますが、リスティング広告とそれ以外の広告について抑えておけば十分です。

リスティング広告とそれ以外の広告についてのCPCの算出方法について詳しく解説していきます。

リスティング広告の場合のCPCの算出方法

リスティング広告は、検索エンジンの検索結果に表示される広告です。代表的なプラットフォームにGoogle広告やYahoo!広告があります。

リスティング広告のCPCは、基本的に「オークション形式」で決定されます。

Google広告の場合

Google広告の場合、キーワードプランナーなどに記載されている次のようなCPCは、あくまで過去一定期間の統計上の参考CPCです。そのため、実際に広告を出した時のCPCとは異なります。

実際に自社で広告を出す際のCPCは、掲載される順番が1つ低い競合他社の広告よりも上位を維持するために必要なクリック単価に1円上乗せする、という方法で算出します。計算式は以下の通りです。

※広告ランク:広告の掲載順位を決める指標で、広告ランクの値が高いほどその広告が広告枠のより上位に掲載されるようになる。

※品質スコア:自社が出した広告の品質を示す1~10の数値で10に近いほどGoogleに高く評価されていることを示す。

たとえば、次のA社、B社、C社が同じキーワードで広告を出す場合について、実際のCPCを計算してみましょう。

入札単価とは、各社が1クリックにつきこれぐらいの費用であればかけても良いという上限CPCのことです。

 

入札単価(上限CPC)

品質スコア

A社

100

8

B社

150

10

C社

120

6

すると、広告ランクが求まります。

基本的にリスティング広告は、広告ランクの高い順番で表示されていくので、次表のようにB社→A社→C社という順番で表示されます。

 

入札単価(上限CPC)

広告ランク

品質スコア

B社

150

1500

10

A社

100

800

8

C社

120

720

6

広告ランクと品質スコアが決まれば、実際のCPCを前述の計算式で求めることが可能です。

たとえば、1番上に表示されているB社の実際のCPCは、1つ下位に表示されているA社を競合他社として次のように121円と計算できます。

A社の広告ランク(800)/ B社の品質スコア(10)+1=実際のCPC(81円)

同様にA社のCPCは、1つ下位に表示されているC社を競合他社として、次のように91円と計算できます。

C社の広告ランク(720)/ A社の品質スコア(8)+1=実際のCPC(91円)

まとめると、次表のようになります。

 

入札単価(上限CPC)

CPC(クリック単価)

広告ランク

品質スコア

B社

150

81

1500

10

A社

100

91

800

8

C社

120

4位の広告ランクによって決まる

720

6

B社が81円、A社が91円となり、広告ランクと品質スコアが高いほど、同じ入札単価でもより低いCPCで広告を掲載できるということが分かります。

Yahoo!広告の場合

Yahoo!広告もGoogle広告と同じくオークション方式でCPCが決まります。

Google広告と同様に「広告の品質」と「入札単価(上限CPC)」を掛け合わせた「広告ランク」が算出され、その広告ランクによって掲載順位が決まります。

基本的な考え方はGoogle広告と同じですが、Yahoo!独自のアルゴリズムにより若干の違いがあります。

リスティング広告以外の場合のCPCの算出方法

リスティング広告以外のWeb広告では、基本的にかけた広告費とクリックされた回数から、1クリックあたりの広告費を算出します。

具体的な計算式は以下の通りです。

CPC=広告費/Web広告のクリック数

CPCだけではなくCPMなどの指標を選択できるケースもあるため、目的やターゲット設定などによって使い分けましょう。

業界や広告フォーマットごとの平均CPCはどれぐらい?

業界や広告フォーマットによって、平均CPCは異なります。

アメリカのネット広告分析会社のWordstreamの調査によれば、Google広告における業界別の平均CPCは次の表のようになっています。

業界

平均CPC

自動車(販売)

317円

アパレル・ファッション

372円

健康・フィットネス

561円

教育

552円

金融保険

640円

就職

552円

法律

1,214円

不動産

190円

レストラン・食品

258円

引用元:Wordstream「Digital Benchmarks by Industry: PPC」

上記表を見ると、健康・フィットネス、教育、金融、法律など、人間が生活していくにあたり重要なカテゴリはCPCが比較的高くなっていることがわかります。

このような業界は競争が激しく、広告主が高額な入札を行う傾向にあるため、CPCが上昇しやすくなるのです。

一方で、不動産やレストラン・食品などの業界では、比較的CPCが低く抑えられていることがわかります。

広告フォーマットによってもCPCは大きく異なります。

代表的な広告フォーマットの平均CPCは以下の通りです。(※あくまで目安です)

リスティング広告

80円〜1,000円

ディスプレイ広告

50円〜100円

SNS広告

20円〜200円

動画広告

50円〜150円

ただし、上記平均CPCはターゲット設定によって大きく異なります。

たとえば、高単価商品を扱うBtoB業界では、リスティング広告のCPCが1,000円を超えることが珍しくありません。

一方で、競合が少ない分野をターゲットにしている場合は、CPCが数十円程度で済むケースもあります。

CPCが分かると何が良いの?

CPCを把握することで、Web広告を実施する前と後で次のようなメリットがあります。

  • (Web広告実施前)広告予算や効果をある程度見積もることができる
  • (Web広告実施後)広告の費用対効果を改善する指標になる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

(Web広告実施前)広告予算や効果をある程度見積もることができる

CPCが分かれば、必要な広告費をクリック数から逆算して必要な広告費を予測しやすくなるため、Web広告の予算を組む際や、他の施策との比較を行う際に便利です。

たとえば、あるWeb広告の平均的なCPCが100円だとすれば、1,000クリックで広告費の目安が10万円程度になると予算を見積もることができます。

また、予算が20万円と決まっている場合、平均的なCPCが100円だとすれば、広告を出すことによって20万円で2,000クリックほど獲得できるという効果の予測も可能です。

過去の広告実績などで「この商品やサービスは100クリックで1成約が出る」という大体の目安があれば、2,000クリックで約20成約が見込めることが事前に試算もできてしまいます。

(Web広告実施後)広告の費用対効果を改善する指標になる

CPCは広告の改善にも役立ちます。

「CPCが高い」という場合、リスティング広告の場合であれば、「キーワードの競合が多い傾向がある」ということなので、次のような改善が有効だと判断できます。

  • 入札単価(上限CPC)を上げる
  • マッチタイプを変更する
  • 広告の品質スコアを上げる
  • キーワードを変更する

また、リスティング以外の広告で「CPCが高い」ということは、「金額をかけた割にクリックがそこまで生まれていない」ということです。

そういった場合には、次のような改善が有効だと判断できます。

  • 広告を出すターゲット層を変更する
  • ターゲットがクリックしたくなるような訴求のバナー、文言に変更する

このように、「CPCが高い」という指標だけで様々な広告改善ができます。

CPMやCPAなど「表示→クリック→成約」という一連の指標を組み合わせながら分析すると、より効果的な改善ポイントが見つかりやすくなります。

広告効果を最大化するためにはCPCの理解が必要不可欠!

今回は、CPCについて、算出方法やその他の類似用語との違いなどについて詳しく解説しました。

Web広告を今後運用していきたい、または現在の広告成果をもっと向上させていきたい、という場合にはCPCについてのきちんとした理解と細めな計測・分析が必要不可欠です。

この記事でCPCをより深く理解し、自社のWeb広告出稿、広告改善に役立ててみてください。

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