インフルエンサーマーケティングの広告効果は?KPIは?費用はどのくらい?効果の高い事例のポイントは?

マーケティング 2017.02.09

消費者は、テレビ、パソコン、スマホといった情報洪水の迷路に入り込んでいる。
企業はその溢れかえった情報の中で、消費者の興味と関心の争奪戦を繰り返さなければならない。

インフルエンサーマーケティング広告の背景

広告としてメッセージを発信しても、企業からの情報は消費者には届かない。
だから同じ消費者としての立場から、商品やサービスの体験談やクチコミとして発信してもらう。

消費者からすると『あの人が好きなものなら間違いない』と、購入時の大切な判断基準の指針になる。 友人からのおススメと同じ感覚で参考情報にする。

雑誌広告予算を、インフルエンサーマーケティング予算へ投下する企業が増えてきている。

 

インフルエンサー広告を利用する企業とは?

では、どのような企業やサービス、ブランドがインフルエンサーマーケティングを重要と捉えているのだろうか。

インフルエンサーマーケティングを実施する企業には共通した課題がある。

  • 検索数が伸び悩み、サービスへの流入が少ない。
  • ウェブ広告ではリーチできない新しい層をターゲットとしたい。
  • 新しいブランドや商品名を認知させたい。
  • サービスのコアなファンを作りたい。

この課題解決においてインフルエンサーマーケティングは有効であり、課題を抱えた企業にとっての重要な手法であると考えられる。

 

インフルエンサーマーケティング出稿の費用感/コスト

 


インフルエンサーマーケティング、インフルエンサー広告の出稿を検討する場合、出稿に掛かる金額はどの程度の価格相場か。
インフルエンサーマーケティングに掛かる費用を見積もるには以下3つの項目が情報として必要となる。

  1. どのSNSで実施するか
  2. 誰をインフルエンサーとするか
  3. どの程度のユーザーにリーチさせるか

例えば、
(1)Youtubeで(2)人気ユーチューバー5名程度で(3)100万回再生させたい
(1)Instagramで(2)20代読者モデル10名程度で(3)100万フォロワーに届けたい
といった形で出稿費用は変わる。

現在インスタグラムで行うインフルエンサーマーケティングは、100万円程度の費用から実施する企業が多くなっている。

 

インフルエンサーマーケティング広告事例と勝ちパターン

インフルエンサーを活用した広告とは、どのような表現になるのか。

Twitter/Instagramを例に取って、どのような展開が行われているか、実際のクリエイティブでその違いを検証したい。

Twitter

クリエイティブの特徴

タイムラインの流れる速さを意識し、テキストのみではなく、テキスト+動画・画像の構成が一般的。
ユーザーの目線が止まるように際立つクリエイティブ表現を追求されるているように見られる。

ハッシュタグ(#記載)は少なめ。ツイッターはインスタグラムに比べてハッシュタグによる情報の拡散力が低く、入力できる文字数に制限があるため。

出稿企業・サービスの傾向

表現の自由度が高いツイッターにおいては、出稿企業やサービスに偏りはない。
ウェブサービスから日用品、イベント、店舗などあらゆる業種において活用されている。

効果の高いTwitterインフルエンサー広告事例のポイント

テレビや雑誌で知名度の高いタレントに依頼すれば効果が見込める訳ではない。
むしろ、ブッキング費用が高騰し、費用対効果としては失敗に終わるケースも散見される。

ツイッターにおけるインフルエンサーマーケティング成功のポイントは、

  • リーチ力
  • コンテンツの質

の2点の掛け合わせが重要である。

Twitterインフルエンサーマーケティング広告の勝ちパターン

https://twitter.com/teokun711/status/822390071919685632

リーチ力は≒フォロワー数で測りやすい。
インフルエンサーのブッキングにおいてフォロワーが多いに越したことはない。

一方で、重要なのがコンテンツの質である。

コンテンツの質:投稿されるテキスト、画像や動画の内容

外部から与えられたプロモーション素材を、インフルエンサー自身のクリエイティブ能力で良質なコンテンツに仕上げることが求められる。

それ(題材)がPRのための広告商材だとしても、フォロワーが違和感を持たず楽しめる企画に昇華させられていれば、広く拡散され、高い広告効果を生むことになる。

 

Instagram

クリエイティブの特徴

テキスト+動画・画像の構成はツイッターと同じ。
インフルエンサーが、広告商材とともに動画や写真に写り込む表現が多く見られる。

口紅であれば、塗っている所。カラコンであれば、目のアップ写真。新作バックであれば、お披露目会イベントのエントランス。といったものが多い。

特徴的なのは、テキスト領域でハッシュタグを多用する点。

ハッシュタグを記載することによって、投稿がキーワードごとにカテゴリ分けされ、インスタグラム内の検索やキーワードのカテゴリに興味のあるユーザーが自分の投稿を見てくれる可能性が高くなる。
例えば「#ottd」※というハッシュタグを付けて投稿した場合、ブランドの名前を知らなくても、ファッション関連の投稿をしているユーザーや、欲しいアイテムの投稿をしているユーザーなど、ファッションに興味のあるユーザーがインスタグラム内の検索から投稿に辿り着ける仕組みになっている。
※ottd=Outfit Of The Dayの略語で 『今日のコーデ、服装』という意味。

テキスト内にURLを記載できないのがツイッターとの大きな違い。 

企業のインスタグラムアカウントを<@クライアント名>などを掲載し、企業のインスタグラムアカウントへ飛ばす形式も見られる。
強引な手法としては、インフルエンサー自身のプロフィール(アカウントのプロフィール欄にはURLを記載できる)にURLを掲載するケースもある。

出稿企業・サービスの傾向

インスタグラムが若年層、女性の利用者率が高いことが影響し、女性向けブランドやサービスの出稿が多い。
上記をターゲットとしているため、女性に人気の読者モデルやアパレル店員など、これまでは雑誌を中心に取り上げられてきたストリートの人気者が、インフルエンサーとして多く活躍している。

また写真を共有することで、自身のライフスタイルを表現するというインスタグラムの利用特性上、生活用品との親和性が非常に高い。

効果の高いInstagramインフルエンサー広告事例のポイント

インスタグラムにおけるインフルエンサーマーケティング成功のポイントは、

  • リーチ力
  • 連続性
  • 愛情表現

リーチ力はツイッターと同様であるが、インスタグラムにおいては「連続性」と「愛情表現」この2つの備わった投稿が出来るかが成功のポイントになる。

現状、一般的なクリエイティブの特徴として、インフルエンサーが商品を手にして、様々な商品とセットで画像や動画に写り込む、自撮りするというものが多い。
フォロワー(消費者)は、この手の表現に対して、広告だと判断し、信憑性は低く、嫌悪感すら抱いている。
広告投稿の対価を得た上で、オススメしている、というネガティブな理解に繋がってしまうリスクがある。

そこに足りないのは、インフルエンサーが、対象の商品を一貫して、心からオススメしているという「連続性」と「愛情表現」である。

「連続性」と「愛情表現」が上手く表現されている事例の一つ目は、ロッテ ガーナチョコレートのインスタグラム広告クリエイティブ。

Instagramインフルエンサーマーケティング広告の勝ちパターン(1)

高い「愛情表現」と「連続性」のポイントは、<日常的に料理やスイーツの投稿で人気を集めるインフルエンサーを多数起用しているブッキング力><市販のガーナチョコレートにひと手間掛けることで増す魅力を、正確に表現しているクオリティ>に見られる。

 

もう一つ、「連続性」と「愛情表現」が上手く表現されている事例を挙げると、ユニクロのインスタグラム広告クリエイティブ。
ポイントは、<インスタグラム上での期間的な広告契約>に見られる。

PRとして嫌悪感が抱かれやすいインフルエンサーマーケティングの原因は、一過性にある。
本当は好きではないものを無理やりオススメとして紹介している嘘にある。

Instagramインフルエンサーマーケティング広告の勝ちパターン(2)

人気モデルの横田ひかるさんを例にすると、2016年9月21日の#uniqlo #PR @uniqlo投稿以来、2017年以降も定期的に同様にユニクロ商品をottd形式でインスタグラムにアップしている。
これは一過性になりがちなインフルエンサーへの広告依頼に対して、マス広告に近い契約で長期的な広告契約を結んでいる成果である。

 

 

 

インフルエンサーマーケティング広告のKPI設定方法と効果指標

 

インフルエンサーマーケティングの課題に、広告効果や目標設定の分かりづらさが挙げられます。

一般的なウェブ広告は、「どの程度クリックされたか?」「何個売れたか?」という所まで、出稿金額に対し、効果が一目瞭然になります。
ウェブ広告が直接的な費用対効果を目標にしている一方で、インフルエンサーマーケティングは口コミによる消費者の態度変容が狙いであるため、効果が不明確だと言われているのです。

それでも会社内で広告予算を確保するには、インフルエンサー広告の効果を数値で表現しないことには始まりません。

ここでは、Twitter、Instagram、Youtube、Blogを媒介としたインフルエンサーマーケティング広告は、どのように効果指標を設計すべきかを考えたいと思います。

Twitterを活用したインフルエンサーマーケティング広告効果指標

Twitterはインフルエンサーが投稿するテキスト文の中にURL(サービスへのリンク)を設置することができるため、一般的なウェブ広告と同様の指標やKPI設定が可能です。

Twitterインフルエンサーマーケティング広告のKPI

  • インプレッション数:投稿が見られた数
  • クリック数:投稿されたURLがクリックされた数
  • コンバージョン数:最終成果となる購入や申込み、契約などの数
  • エンゲージメント数※:いいね!やコメント、リツイートなどのユーザー反応数

※エンゲージメント数では、広告として投稿がユーザーに好意的な印象となっているかを計測

 

Instagramを活用したインフルエンサーマーケティング広告効果指標

Instagramはインフルエンサーが投稿するテキストの中にURLを記載してもクリッカブル(リンク)にすることができません。
なので、どの程度のユーザーが投稿を閲覧し、投稿によってユーザーの態度変容が起こったかを判断するのが最も難しいSNSとなっています。
そういった状況ではありますが、以下である程度のその効果を計ることは可能です。

Instagramインフルエンサーマーケティング広告のKPI

  • インプレッション数想定※1:投稿が見られた数
  • Google/Yahoo!検索数変化※2:意図したキーワードの検索数増加
  • エンゲージメント数※3:いいね!やコメントなどのユーザー反応数
  • フォロワー数※4:広告主の公式アカウントのフォロワー数の増加
  • クリック数※5:インフルエンサーの自己紹介文内のURLクリック数

※1:インスタグラム動画はタイムラインで閲覧した際に自動再生となり再生数も表示される。インフルエンサーがどの程度のインプレッション(リーチ力)を持つか想定できる。
※2:検索した後に辿り着くランディングページ(LP)の準備を十分に行っておく必要がある。
※3:エンゲージメント数では、広告として投稿がユーザーに好意的な印象となっているかを計測
※4:投稿文の中に@で広告主のインスタグラムアカウントを記載しておく。リンク可能となるので、インフルエンサー広告経由で広告主のフォロワーを増やすことができる
※5:インスタグラムでは唯一、自己紹介文の中だけURLを記載できる。クリック数をカウントするのであれば、紹介文に設置し、効果を計測する。

 

Youtubeを活用したインフルエンサーマーケティング広告効果指標

Youtubeでは再生数を目標とすると同時に、エンゲージメント(視聴者の反応)の良し悪しに注目する必要がある。 Youtubeではエンゲージメント(視聴者の反応)として高評価ボタン、低評価ボタン、コメント欄が設置されているため、低評価やネガティブなコメントが集まるリスクを避けなければならない。
再生数やクリック数を効果指標としながら、マイナスな指標も考慮する。

Youtubeインフルエンサーマーケティング広告のKPI

  • 再生数:動画が再生された、視聴された数
  • クリック数:動画内、もしくは動画説明文章内に設置されたURLがクリックされた数
  • エンゲージメント数:GOOD/BADの数や比率、コメント数、シェア数

 

Blogを活用したインフルエンサーマーケティング広告効果指標

ブログでは上記ツイッターやインスタグラムなどのSNS的な要素に加えて、SEO(検索表示対策)視点が重要になる。
特定のキーワードにおける検索順位は効果指標として最も優先的に考えるべき。
更に、ブログページには、消費者が、能動的に自ら目的を持って、検索し、訪れる。
彼らが持つ課題に対して、解決、購入の後押しとなる十分な内容が表現されていることで、成果は大きく変わってくる。

Blogインフルエンサーマーケティング広告のKPI

  • インプレッション数:PV数、ブログ記事が見られた数
  • クリック数:記事内のURLがクリックされた数
  • コンバージョン数:最終成果となる購入や申込み、契約などの数
  • 検索表示順位:Google/Yahoo!など検索エンジンによる特定キーワードの掲載順位

 

インフルエンサー自身は儲かるのか?

 

誰でも発信できる時代。
これまで消費者だった人々の中から、SNS上で人気になる人たちが現れ、人気を商品価値に変換することで多くのインフルエンサーが生まれている。
インフルエンサーはビジネスとして成立するのか?インフルエンサーとして活動している人が、どのくらい儲かっているのか?

Twitter,Instagram,Blog,Youtubeなど、どのSNSで影響力を持つかによって異なりますが、現状1フォロワーあたり1円〜3円の価格の幅で計算されることが多い。
1フォロワーあたりの価値はリアルでの知名度や、日常投稿する1投稿あたりのフォロワーの反応(エンゲージメント)などによって変化する。

手元のスマートフォンで制作できるtwitterやInstagramのSNSに比べ、制作に手間の掛かるBlog,Youtubeの制作価格は高くなります。
また、BlogやYoutubeにはフォロワーという指標がないため、読者数やチャンネル登録数、また直近の記事PV数や動画再生数など、クライアントや広告代理店との間での価格協議によって決められることになります。

稼ぐインフルエンサーの参考例

世界で最も稼ぐYoutuber

スウェーデン人のピューディパイ氏、2015年のYoutube投稿で稼いだ年収は14億円。

人気ファッションブロガー

ニューヨーク在住のファッションブロガーDanielle Bernstein。
インスタグラムのフォロワーが100万人の当時、1回の投稿で180万円を貰っていたと告白。

企業にとって価値の高いインフルエンサーとは?

出典:martech advisor

企業は「商品やサービスを認知させたい」「コアファンを作りたい」という思いがある。
なので商品やサービスをインフルエンサー自体が愛用し、ファンへ魅力を代弁してくれる人を探している。長期的に、複数回投稿可能なインフルエンサーは特に重宝される。

化粧品などの宣伝商品を、セルフィー(自撮り)とともに唐突に投稿するインフルエンサーが多く見られるが、本来の目的に照らし合わせると最適なインフルエンサーマーケティングとは言えない。
商品やサービスを、長期的に(本当に)使用しており、実体験として、効果や効能について正しく意見できるインフルエンサーこそが、正しい口コミを発生させることができる価値の高いインフルエンサーである。

もう一つ、フォロワー数と同じ、もしくはそれ以上に大切なのがエンゲージメント率(インタラクション率)※が高いインフルエンサーは重宝される。
投稿した内容対するフォロワーの反応は、イコールそのインフルエンサーの信頼度や好感度に比例する。インフルエンサーの発信を好意的に捉えている人のボリュームが、そのままエンゲージメントとして現れる。
企業はフォロワー数が同じ程度であれば、エンゲージメント率の高いインフルエンサーを優先的に抽出して案件の依頼する。
※1投稿に対する<いいね!>や<コメント数>などの反応率

 

最後に

インフルエンサーマーケティングがステルスマーケティングにならないために

インフルエンサーマーケティングが未だWEBプロモーション領域で、一般的な戦略として取り扱われていない背景には、企業側のステルスマーケティング的リスクの心得違いにある。

インフルエンサーを活用した広告出稿は、現状クリエイティブの中に広告(PR及び広告主)表記を行う必要がある。
広告表記を蔑ろにしてはならない。広告主とインフルエンサー双方にリスクを伴う景品表示法の不当表示に抵触する可能性がある。
広告表記の無視は、インフルエンサーマーケティングをステルスマーケティングに成り下げる。

広告表記がないステルスマーケティング例

女子中高生に人気のモデルを起用したツイッター投稿。
投稿時刻、投稿内容の類似性、URL表示、ブログ内容などが全て一致。
投稿者が能動的に発信したものではなく、アプリ提供企業から広告費用を受け取った上で、指示通り宣伝行為を行ったと考えらる。
にも関わらず広告表記が無いため、ステルスマーケティングと断定される。

広告表記定義の曖昧さ

広告表記とは何なのか。
様々なガイドラインはあるものの、定義中という状態に近く、法的規制力は小さい現状である。

キリンの炭酸飲料「Mets」のツイッタープロモーションでは、プロレスラー蝶野氏をインフルエンサーとして起用。蝶野氏の投稿の中にPRや広告の文字は無いが、「キリン メッツ コーラからの依頼で」と記載されている。
広告表記のガイドラインでは、PRや広告といった『広告であること』と『広告主体者の明示』を同時に記載することが望ましいとされている。
『広告であること』と『広告主体者の明示』を同時記載は、あくまで望ましい状態であるため、キリンMetsの事例はステルスマーケティングとは言い切れない。

 

SNS上で影響力を持つ人々は信用を失うことで、今後の活動モーションにも悪影響が出る可能性がある。
同様に広告主側も企業や商品のイメージが傷つけられるというリスクと、景表法違反という法的リスクを抱えることになる。
著名人のSNSやブログ記事などをPRに使う場合には宣伝広告であることを必ず明記してもうらう。

逆に言えば、広告表記だけ失念しなければ、リスクは無い。
もちろん過度な表現や不当な表示はNGだが。

 

刈り尽くしたWEBプロモーション土壌に、次の一手として、同じ消費者としての立場から、商品やサービスの体験談やクチコミとして発信してもらうインフルエンサーマーケティングは重要な手法になっていくはずである。

 

弊社でもクライアントさまへのご提案機会が増えて参りました。

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