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EdTechとは?生成AI時代の教育テクノロジーと日本の事例5選を解説
その他 2026.09.25

EdTech(エドテック)という言葉を聞いたことがありますか?
EdTechを活用することで、生徒の学びを効率化したり、教員の負担を軽減したりと、様々な改革が進められることが期待されています。
この記事では、EdTechとは何か、注目を集める日本のEdTech事例について紹介していきたいと思います。
なお、弊社パンタグラフでは、受験生応援Webサイト「受験のミカタ」を運営しています。
インターネットにて勉強に役立つコンテンツを提供するメディアとして、有益な情報をタイムリーに提供しています。ぜひ併せてご確認ください。
目次
EdTech(エドテック)とは?注目の集まる教育テクノロジーを解説
EdTech(エドテック)とは、Education(教育)とTechnology(テクノロジー)とを組み合わせた造語で、情報技術の力で教育環境を変えていく取り組みを指しています。
学校や塾の授業で板書やディスカッションなどに使われるサービスや、遠隔地から受講できるオンライン学習の配信、教師が生徒の学習状況を把握するツールなど、さまざまに導入が進んでいます。
さまざまな業界で広がる「X-Tech」
EdTechのように、ある分野とテクノロジーを組み合わせ、新しい価値を生み出すという動きは様々な業界で起こっており、総称してX-Tech(クロステック)と呼ばれています。
金融業界のFinTech(フィンテック)、広告業界のAdTech(アドテック)などが有名です。具体例としては、金融分野でのモバイル決済、医療現場での電子カルテなどが挙げられます。他にも、小売、不動産、農業などの業界に至るまで、あらゆる業界で大きな変化が起こりつつあります。

「EdTech」と「eラーニング」や「ICT教育」の違いは?
EdTechとeラーニング・ICT教育の違いは、EdTechが教育の課題解決や新しい価値の創出を目指すのに対し、eラーニングとICT教育は学習手段や利用機器を指す点にあります。
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用語 |
意味 |
位置づけ |
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EdTech |
テクノロジーを用いた効果的・効率的な教育ツール、サービス |
教育の課題解決や新しい価値の創出そのものを目的とする |
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eラーニング |
インターネットを通じて、おもに動画を視聴することで学習する形態 |
学習の「形態」を指す |
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ICT教育 |
パソコンやタブレット端末などのICT機器を用いた教育方法 |
利用する「機器・手段」を指す |

eラーニングは、インターネットを通じて、おもに動画を視聴することで学習する形態を指します。インターネットに接続できる環境があれば場所を選ばず、理解度に合わせて何度でも学習でき、またテスト機能などにより学習状況を把握しやすいというメリットがあります。
またICT教育とは、ICT機器を用いた教育方法のことで、パソコンやタブレット端末などを使う授業を指します。ICTは「情報通信技術」の意味であり、これらを活用した授業やパソコンそのものの使い方を教える授業などを総称して呼ぶ言葉です。インターネット上の資料などを学習に活用できるほか、授業準備の効率化を図ることにも役立ちます。
一方で、EdTechとは、テクノロジーを用いた効果的・効率的な教育ツール、サービスです。「インターネット上で従来と同じ授業を行うこと」や「従来の授業を効率的に行うためにICT機器を使用すること」ではなく、テクノロジーを用いてこれまで教育の課題とされてきたことを解決したり、教育の新しい価値を生み出したりするような取り組みを指します。
くわしい情報や事例を紹介しています。
EdTechの事例5選!日本企業の取り組みは?
日本を代表するEdTechサービスには、スタディサプリ、atama+、mikan、Life is Tech、ロイロノート・スクールの5つがあります。
EdTechの有名な海外事例としては、MOOC(ムーク)が挙げられます。MOOCはMassive Open Online Courses(大規模公開オンライン講座)の略で、海外の一流大学のオンライン講義を原則無料で受けられるサービスです。いくつかの学習サービスをまとめるプラットフォームとして機能し、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などが開発に関わりました。MOOCは、このサービスで学んだモンゴルの少年がアメリカのマサチューセッツ工科大学に入学したことでも話題になりました。
EdTechは、このように空間的、経済的な制約を撤廃し、誰もが高度な教育を受けられる可能性を提示しています。なお、日本には「JMOOC」という日本版サービスが存在します。それでは、日本企業が取り組んでいるEdTechの事例を紹介していきましょう。
日本のEdTech事例①スタディサプリ
「スタディサプリ」は、小学生〜高校生、大学受験生、英語を学ぶ社会人に向けたオンライン授業とテキストを配信するサービスです。
一流講師による分かりやすい講義をスマートフォンやタブレット端末等で視聴でき、単元学習やテスト対策も可能です。これまで大手の予備校や塾に通わなければ受けることができなかった講義を、自宅や移動中に受講できるため、教育の地域間格差の解消に役立つと考えられます。
さらに、スタディサプリでは生徒一人ひとりの理解度に合わせて復習できます。学校向けプランもあり、教師が生徒の学習状況を一括管理するための機能や、個々人に合わせた学習を提案する機能が備わっています。
スタディサプリは現在も提供が継続されており、小中高向けの学習サービスに加え、英語学習や大学・専門学校の進路情報など、提供領域を広げています。
日本のEdTech事例②atama+(アタマプラス)
「atama+」は、AI(人工知能)を活用したオンラインの学習システムです。
AIが一人ひとりの理解度・学習履歴・ミスの傾向・その日の集中度などに合わせたカリキュラムを作成します。塾や予備校向けに販売されているサービスで、導入した塾や予備校の講師が生徒の学習状況を把握したり、教育プランを考えたりするために使われます。生徒のスマートフォンに向けて、理解状況に合わせた宿題を配信する機能もあります。AIと人間の講師の得意分野を連携した教育が可能になります。
なお、初回公開時に「atamaplus」と表記していたサービス名は、現在「atama+」が正式な表記です。また、塾・予備校向けにシステムを提供するモデルに加えて、現在は「進学個別 atama+塾」および「atama+オンライン塾」として、自社ブランドの塾を全国で展開しています。AI教材の提供にとどまらず、教室運営まで手がける形へと事業が広がった点は、EdTech企業の展開例として参考になります。
日本のEdTech事例③mikan
「mikan」は、ゲーム感覚で英単語を学べるスマートフォンアプリです。
ユーザーのレベルや目標に合った単語群が選択でき、クイズ形式でテンポよく単語を学ぶことができます。また、間違えた問題は自動で記録され、苦手な分野をまとめて復習することが可能です。また、アプリのイメージキャラクターがプッシュ通知で学習を呼びかけ、勉強の習慣付けにも役立ちます。iPhone、iPadのほか、Android端末にも対応しています。
現在は英単語学習にとどまらず「英語アプリmikan」として提供領域を広げており、公式サイトでは利用者数1,000万人と公表されています。
日本のEdTech事例④Life is Tech
「Life is Tech」は、中高生向けのIT・プログラミング学習サービスです。
パソコンを使ったRPG風ゲームでプログラミングを学べる「テクノロジア魔法学校」のほか、短期集中型のプログラミング学習キャンプや定期開催のスクールを行っています。
初回公開時点では教育機関への教材提供が70校以上でしたが、公式サイトによると、クラウド型学習教材「Life is Tech ! Lesson」の導入校は4,000校(2023年8月時点)、600自治体に広がっています。サービス提供の総数は200万人以上(2023年12月時点)と公表されており、5年間で大きく規模を拡大しました。現在は中高生向けに加え、自治体向けの地域デジタル人材育成、企業向けのDX人材研修へも展開しています。
日本のEdTech事例⑤ロイロノート・スクール
「ロイロノート」は、全国の小学校・中学校・高等学校・大学・塾に導入されている授業支援アプリです。
カードに記入し、移動や組み合わせを行うUIを用い、ディスカッションや文章の作成、発表などを効率的に行います。また、板書やノート提出、課題などもアプリ上で行えるため、教員の負担軽減につながります。パソコンやスマートフォン、タブレット端末で利用できます。
初回公開時点では導入1,000校以上と紹介していましたが、GIGAスクール構想による1人1台端末環境の整備を背景に、現在は自治体単位での導入が進んでいます。
※導入校数・利用者数は各社の公表値が更新される場合があります。公開前に各サービスの公式サイトで最新の数値をご確認ください。
生成AIがEdTechにもたらした変化(2023年〜)
生成AIの登場により、EdTechは「学習の効率化」から「一人ひとりに対話しながら教える」段階へと進みました。
本記事の初回公開時点(2020年)でもatama+のようにAIを活用したサービスは存在していましたが、当時のAIは主に学習履歴の分析とカリキュラムの最適化に使われていました。2022年末以降に生成AIが普及したことで、AIが生徒の質問に自然な言葉で答えたり、教員の代わりに教材やテスト問題を作成したりできるようになり、EdTechが担える範囲が大きく広がっています。
教育現場での生成AI活用の3つの類型
教育現場における生成AIの活用は、生徒の学習支援、教員の教材作成支援、校務の効率化という3つに整理できます。
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類型 |
活用内容 |
期待できる効果 |
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生徒の学習支援 |
AIチューターが生徒の質問に答え、対話しながら理解を促す |
個別最適な学習を、講師の人数に依存せず提供できる |
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教員の教材作成支援 |
授業計画、小テスト、評価ルーブリックなどの作成を補助する |
授業準備の時間を削減し、生徒と向き合う時間を確保できる |
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校務の効率化 |
通知文の作成、アンケート集計、問い合わせ対応などを補助する |
教員の事務負担を軽減できる |
生成AI活用の事例:Khanmigo(カーンミーゴ)
Khanmigoは、非営利教育団体Khan Academyが提供する生成AI搭載の学習支援サービスです。
Khanmigoの特徴は、生徒に直接答えを教えるのではなく、生徒自身が答えにたどり着けるよう対話で導く設計にあります。数学、科学、プログラミング、歴史、人文科学など幅広い科目に対応し、小学生から大学生までを対象としています。教員向けには、学習指導要領に沿った授業計画やクイズ、評価ルーブリックの作成を支援する機能が提供されており、教員は無料で利用できます。
生徒に答えを与えず考えさせるという設計は、生成AIを教育に用いる際の重要な論点です。生成AIは質問すれば答えを返してくれるため、使い方を誤ると生徒が考える機会を奪ってしまいます。EdTechに生成AIを組み込む際は、何を自動化し、何を生徒自身に残すのかという線引きが、サービス設計の中心的な課題になります。
文部科学省のガイドラインと教育現場のルール整備
文部科学省は、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドラインを公表しており、2024年12月にVer.2.0へ改訂しています。
文部科学省は2023年7月に暫定的なガイドラインを公表し、その後の技術革新やルールづくりの進展を踏まえて、令和6年12月26日にVer.2.0を公表しました。ガイドラインでは、生成AIの概要と基本的な考え方に加え、活用する場面や主体に応じた留意点、学校現場で押さえておくべきポイントが示されています。
教育向けのサービスを開発・提供する企業にとって、このガイドラインは無視できない前提条件です。学校への導入を想定する場合、ガイドラインが示す留意点を満たしているかどうかが採否を分ける要素になります。生成AIを活用したEdTechサービスを企画する際は、機能の検討と並行して、ガイドラインへの適合を設計段階から織り込んでおく必要があります。
生成AIを教育サービスに導入する際の実務的な課題
生成AIを教育サービスに組み込む際は、PoCで終わらせない体制づくりと、学習データの取り扱いという2つの課題を押さえる必要があります。
生成AIの導入は、試験導入(PoC)までは進んでも本番運用に至らないケースが少なくありません。目的やKPIの設定、業務フローへの組み込み、運用体制といった観点が抜けていると、「使えることは分かったが定着しない」という状態に陥ります。この点については「企業が生成AIを定着できない理由|PoCで終わる原因と改善方法」で、PoCが本番運用に進まない原因と改善方法を詳しく解説しています。
また教育分野では、児童生徒の学習履歴や成績といった機微な情報を扱うため、データを外部に送信せずAIを利用したいという要件が生じる場合があります。自社の環境内でAIを動かす選択肢については「ローカルAIは自分に必要?クラウドとの違いと導入判断」で、クラウドAIとの違いや導入判断の考え方を解説していますので、あわせてご覧ください。
パンタグラフは、受験生応援Webサイト「受験のミカタ」の運営で培った知見をもとに、キーワード設計から記事制作までを支援しています。教育分野をはじめとするオウンドメディアの立ち上げ・運用をご検討の方は、サービス資料をご覧ください。
EdTechで教育はどう変わるの?
EdTechによって、学習の個別最適化と教員の業務効率化が進み、教育格差の是正につながる可能性があります。
EdTechによって、従来の教育環境は大きく変わる可能性があります。テクノロジーによって学習の相互性が高まり、アクティブ・ラーニングを行いやすくなることで、一方通行の授業が減り、生徒が考え、アウトプットする機会が増えると予想されます。また、暗記などのインプットの学習も、AIやデータの活用により、さらに効率化されるでしょう。さらに、経済的、地理的な教育格差が軽減され、学力格差を是正できる可能性もあります。
教員にとっては、テストの採点業務や提出物の管理、成績管理が効率化されることで、業務が軽減される可能性があります。そして、これらのツールやサービスを活用することで、教員が生徒一人ひとりに向き合う時間を確保できるようになることが最も大切なことかもしれません。
生成AIの普及により、この変化はさらに加速しています。かつては人手をかけなければ実現できなかった個別指導や教材作成が、AIによって現実的なコストで提供できるようになりました。一方で、生徒が自ら考える機会をどう守るか、学習データをどう安全に扱うかといった新しい論点も生まれています。EdTechサービスを検討する際は、技術で何ができるかだけでなく、教育の目的に照らして何を任せ、何を人が担うのかを見極めることが重要です。
EdTechは、現段階でも多くのサービスが提供されており、ITを活用した学習・教育環境の改善策が提案されています。今後ますます発展していくEdTechに注目です。
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