BtoBの中小企業がマーケティングオートメーション(MA)を導入すべき3つの理由
マーケティング 2018.01.24
マーケティングオートメーション(通称:MA)というキーワードを耳にするようになってから、だいぶ時間が経ちましたが中小企業のMA導入はまだまだ進んでいない、もしくはMA導入はしていても上手に活用できていない状況です。
そこで今回は、BtoBのビジネスを主に仕事としている中小企業に向けて、
- BtoB企業におけるマーケティングオートメーションの意義とは何なのか?
- なぜBtoB企業がマーケティングオートメーションを導入すべきなのか?
をできるだけ分かりやすくご紹介していきたいと思います。
目次
マーケティングオートメーション(MA)をざっくり説明すると?
マーケティングオートメーションとは、企業がOne to Oneマーケティングを実現しようとした際に発生してしまう膨大な業務や、繰り返し行われている定型的な作業を自動化し、効率を高めるための仕組み・ツールのことを指しますが、ここでは細かく説明しようとすると中々本題に入ることができなくなってしまいます。
そのため、ここではBtoB企業のマーケティング担当者が端的に理解できるよう、マーケティングオートメーションのポイントだけを簡単に説明しておきます。
非効率になりがちな企業の営業・マーケティング活動を補助するツール
御社の営業・マーケティング活動の中に非効率な作業はありませんか?
例えば、売り上げを上げるために
- 企業別のアタックリストを作成して、片っ端からテレアポ
- 見込顧客のメールアドレスに対して、とりあえずの一斉メール送信
- サイトの定期的なトラフィックレポート
のような時間や手間の掛かる作業を行なっていませんか?
マーケティングオートメーションを導入・活用できていれば、このような課題の大半は解決できます。
各課題に解決方法をシンプルに考えてみましょう。
「1. 企業別のアタックリストを作成して、片っ端からテレアポ」は、サイトにアクセスしている企業がどこなのか、何回訪問してきているのか等の情報が分かれば、いちいちgoogle検索して企業をリストアップする必要なく、効率的なテレアポが行えます。
「2. 見込顧客のメールアドレスに対して、とりあえずの一斉メール送信」は、サイトへの訪問回数や閲覧ページの情報を元にして、最適なタイミングで適切な内容のメールを自動的に送信できれば解決することができます。一斉送信の場合は、全ての見込顧客(メールの受信者)に合わせた内容にする必要があり、エッジが効かないメールになりがちです。
「3. サイトの定期的なトラフィックレポート」は、そもそもアクセス解析や広告、CRM等が独立している中で、各ツール上のデータを集計してレポート作成なんて非効率すぎます。この場合は、ツール毎に分散してしまっているデータを一元管理、自動的にレポートすることができれば解決可能です。
マーケティングオートメーションツールの多くは上記の課題を解決することを目的として設計されているので、もう非効率な営業・マーケティング活動に悩まされることは無くなります。
顧客毎に動きを可視化し、マーケティング部と営業部を繋げる
マーケティングオートメーションはCRM機能を持っています。ツールによってはその機能自体を顧客管理(リード管理)と若干異なる呼び方をしているものもあります。
このCRM機能では顧客情報(所属企業や役職、名前等のデータ)の管理はもちろんのこと、リードスコアリング機能を持ってるツールであれば、サイト上の行動ログをタイムライン形式で閲覧することが可能です。
加えて、同じCRM領域にてセールスフォース等のSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)ツールを利用している企業であれば、「MAとSFAを連携させる」もしくは「MAツールに営業活動のログを記録する」ことで、マーケティング部と営業部の動きを一元管理・効率化することができます。
▼マーケティングオートメーションのログ管理イメージ
日時 | 区分 | 行動履歴 | スコア |
2018/1/4 10:00 | サイト訪問 | トップページを閲覧 (https://marketing-automation.co.jp/) |
+1 |
2018/1/4 10:01 | サイト訪問 | サービス紹介ページを閲覧 (https://marketing-automation.co.jp/service/) |
+1 |
2018/1/4 10:02 | サイト訪問 | 導入事例ページを閲覧 (https://marketing-automation.co.jp/case/) |
+3 |
2018/1/4 10:03 | サイト訪問 |
価格ページを閲覧 (https://marketing-automation.co.jp/price/) |
+3 |
2018/1/4 10:04 | フォーム | メルマガ登録 | +5 |
2018/1/10 14:00 | メール開封 | BtoBの中小企業がマーケティングオートメーション(MA)を導入すべき3つの理由とは? | +1 |
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
2018/1/15 16:00 | 通知 | ホットリード(1件)をメール通知 | – |
2018/1/15 16:10 | 電話 | インサイドセールス:山田太郎がテレアポ (サービス導入を検討しており、一度打ち合わせを行いたいとのこと) |
+10 |
2018/1/20 11:00 | 打ち合わせ | セールス:鈴木花子が往訪 (ToDo:導入検討のため、お見積もりを作成・ご提出する) |
+10 |
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
顧客のモチベーションを適切なタイミングで刺激する
顧客毎ログを一元管理することができれば、顧客が今どんな情報を求めているのか?何を考えているのか?が推測しやすくなります。
マーケティングオートメーションで最も重要なUX思想は、「最適なタイミングで適切な情報を届けること」。このUX思想を正しく実現することにより、効率的に顧客を育成(リードナーチャリング)することができます。
例えば、BtoBのWebサービスを提供している企業に以下の顧客セグメントが存在しているとします。それぞれの顧客が求めている情報は同じでしょうか。
- サイトに3回以上訪問しており、価格ページや導入事例ページを中心に閲覧している顧客
- 既にサービスを導入しているが、何度も導入事例ページを閲覧している顧客
「1. サイトに3回以上訪問しており、価格ページや導入事例ページを中心に閲覧している顧客」は、サービス導入を検討中もしくは決めかねている顧客だとするならば、背中を少しだけ押してあげることで成約に繋がるかもしれません。なので、このようなケースでは導入支援や無料トライアル等の情報提供が必要になります。
「2. 既にサービスを導入しているが、何度も導入事例ページを閲覧している顧客」は、他社の事例を参考にサービスの活用方法を模索しているのかもしれません。このようなケースでは、さらに詳細な成功事例やコンサルティング等の情報提供が有効です。
▼顧客のモチベーションを最適なタイミングで刺激するイメージ
ここまでマーケティングオートメーションの簡単な説明は終わりです。
それでも、マーケティングオートメーションって何?もっと詳しく教えてくれ!という方は、下記の記事をご参照ください。
マーケティングオートメーション(MA)の概要については過去の記事でご紹介しています
2014年頃より、アメリカで誕生したマーケティングオートメーション(Marketing Automation、MA)が日本においても注目されるようになり、日本国内だけでも30程のツールが提供されています。 そこで今回は、マーケティングオートメーションの「具体的な機能」や「活用方法」についてウェブマーケティングの担当者が知りたい情報をまとめてみました。続きを読む >>
なぜBtoBの中小企業はマーケティングオートメーション(MA)を導入すべきなのか?
マーケティングオートメーションが製品購入や導入検討・契約に時間を要するBtoBビジネスにおいて、非常に相性が良いということを感覚的にご理解いただけたかと思います。それでは「なぜBtoBの中小企業はマーケティングオートメーションを導入すべきなのか?」という点を考えて見ましょう。
1|人や時間を必要以上に割く必要がない
「マーケティングオートメーション=自動化」と誤った認識をされてしまっている事もあり、「自社に導入すれば、運用の手間なく日々の業務を効率化することができる」と思い込んでしまっている方もいるかもしれません。しかしマーケティングオートメーションを本格的に導入すると、運用スタッフの稼働や企画検討、クリエイティブ制作等の全く別の作業が発生することになります。ただし大手企業・大規模サービスではない限りは、そのまでの多くの作業が発生することはありません。BtoBの中小企業であれば、顧客管理(リード管理)とフォーム管理、メール配信ぐらいができれば十分ではないでしょうか。
2|データは資産になる
BtoBの中小企業にとって、長期的な顧客情報の一元管理と日々の業務効率化は魅力的に見えているはずです。SFAや営業支援系のCRMを未導入の企業であれば、顧客情報や顧客毎のログデータは間違いなく会社の資産になります。また既にSFA/CRMを導入している企業の場合でも、データを一元管理することで作業の効率化が行えるメリットは大きいものだと思います。
3|実は低コストでの導入が可能
マーケティングオートメーションの導入コスト(初期+月額利用料)を考えると、初月だけでも数百万単位になってしまうことも少なくありませんが、中小企業(特にBtoB)向けにも抵抗コストで導入できるサービスも多く存在しています。ツールにより価格感は異なりますが、おおよそ月額2万〜10万以内での導入・運用が可能です。
このように、BtoBのビジネスを展開している中小企業にとってのマーケティングオートメーションとは、人や時間を割く事なく、効率良く事業を成長させるための最適なソリューションなのです。
BtoBの中小企業に必須のマーケティングオートメーション(MA)の機能とは?
そもそもマーケティングオートメーションツールが多機能なものが多く、外部ツールとの連携も考えると、ツールが実現できる事の幅がさらに広がります。ここでは主要な機能のみを紹介しておきましょう。
- 顧客管理(リード管理)機能
- リードスコアリング機能
- フォーム作成機能
- メール配信機能
- プッシュ通知配信機能
- SMS配信機能
- LINEビジネスコネクト連携機能
- Web解析機能
- A/Bテスト機能(サイト/メール)
- シナリオ作成機能
- SFA連携機能
- 広告配信機能
それでは、BtoBの中小企業にもこれだけ多くの機能が本当に必要なのでしょうか。答えは”NO”です。
もちろん機能が豊富であるに越したことはないのですが、企業の営業・マーケティング活動に必須という訳ではありません。おそらく必要になる機能は1〜4の機能のみです。
- 顧客管理(リード管理)機能
- リードスコアリング機能
- フォーム作成機能
- メール配信機能
それでは簡単に、1〜4の機能をご紹介していきましょう。
1. 顧客管理(リード管理)機能 / 2. リードスコアリング機能
「1. 顧客管理(リード管理)機能」「2. リードスコアリング機能」は、顧客の情報・行動を一元管理するための機能です。マーケティングオートメーションにおいて、「1. 顧客管理(リード管理)機能」or「2. リードスコアリング機能」のいずれかの機能しか持たないツールはほとんど存在しません。いずれのツールも「顧客をスコアリングする」を目的としており、マーケティングオートメーションの根幹をなす機能であると言えます。また顧客管理(リード管理)機能 ≒ CRM機能という理解でも、個人的には問題ないと考えています。重要なのはリードをスコアリングする概念であり、それを明確にするためにあえて「2. リードスコアリング機能」というように、表記を分けているツールも多いくらいです。
▼顧客管理(リード管理)機能のイメージ
会社名 | 性 | 名 | 役職 | メールアドレス | メール許諾 | スコア | 詳細 |
株式会社パンタグラフ | 山田 | 太郎 | 部長 | t_yamada@pantograph.co.jp | 希望する | +25 | 詳細 |
株式会社パンタグラフ | 山田 | 花子 | マネージャー | h_yamada@pantograph.co.jp | 希望しない | +10 | 詳細 |
3. フォーム作成機能
顧客情報を取得する際には、フォーム入力が必要不可欠です。ほとんどのマーケティングオートメーションツールでは標準機能として搭載している場合が多いですが、細かく見ると以下のような項目で費用が異なってきます。そのためツールを選定する場合は、テキストベースの機能が同じだからという理由で安易に決めてしまったりせず、より具体的な機能差分を確認しながら進めるとよいでしょう。
- 独自カスタマイズ機能の柔軟性(フォーム上の項目や文言を自由に変更できたり、htmlやcssテンプレートを編集できるなど)
- GUI性能(ドラッグ・アンド・ドロップで操作可能など)
- 独自ドメイン設定の可否(自社ドメインを設定したい場合など)
- API連携機能(自社で構築したフォームをAPIで連携させたい場合など)
4. メール配信機能
顧客(リード)に向けてメールを配信する機能です。この機能もマーケティングオートメーションツールでは標準機能の類となりますが、
- 配信性能(1時間あたりの配信可能通数)
- htmlメールの配信
- メールテンプレートの有無
- セグメント別の配信
などの違いで費用感に違いが出てきます。機能については一般的なメール配信と何ら変わりませんので、ここでは割愛いたします。
マーケティング活動の幅を広げたいなら
LINEやSMSを取り込んでオムニチャネル化を促進したい、位置情報を活用したメールマーケティングを実施したいなど、MA導入企業が実現したい事は様々であるのと同じように、マーケティングオートメーション自体の特性も様々です。MA導入をスモールに始めつつも、自社の課題解決を軸にしっかりと検討していきたいというご担当者の方は、是非こちらの記事も参考にしてみてください。
国内のマーケティングオートメーション(MA)ツールの特徴や選び方については過去の記事でご紹介しています
いざマーケティングオートメーションツールを導入しようと思っても、MA市場が盛り上がってきているだけあって、非常に多くのツールが存在しています。またマーケティングオートメーションツールの機能や特徴が大きく異なっているため、実際はツールの選定にも時間が掛かってしまうものです。さらには、マーケティングオートメーションを導入したはいいが、1.想定イメージと違った成果が出なかった 2.費用対効果が悪かった 3.運用できなかった などの理由で多額のコストを掛けたにも関わらず、断念してしまうケースも少なくありません。そういったマーケティングオートメーションの導入で失敗しないために、ここではツールの選定を行う前に考慮しておくべきポイントをご紹介いたします。続きを読む >>
おわりに
パンタグラフでは、デジタルマーケティングの専門家がマーケティングオートメーションの導入支援からMA施策のご提案・コンサルティングまで、幅広くご依頼を承っております。
- BtoB企業様で、現在マーケティングオートメーションの導入を検討している
- 自社の営業・マーケティング活動に合うマーケティングオートメーションツールを紹介してほしい
- すでにマーケティングオートメーションは導入済みだが、自社に合っておらず、リプレイスを検討したい
などでお悩みの場合でも、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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パンタグラフでは、マーケティングオートメーションツールの選定から導入支援、企画・提案まで、御社のMA運用をサポートしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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