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アーンドメディアとは?第三者メディアを活用した広報・PRの基本と活用法
マーケティング 2025.07.14

広報や、マーケティング活動を行う中で、SNSでのクチコミをきっかけに、商品の売れ行きが急増したり、プレスリリースを発表したことで企業の認知度が高まったりした経験がある方もいるのではないでしょうか。
このような、第三者によって発信される情報メディアを用いた企業の広報・マーケティング戦略は、「アーンドメディア」と呼ばれ、近年ますます注目されています。
本記事では、アーンドメディアの定義や種類、メリット、活用方法、さらにはリスクとその対策まで、広報・マーケティング担当者が押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
目次
アーンドメディアとは?広告とは異なる「信頼のメディア」
アーンドメディア(Earned Media)とは、企業が直接費用をかけることなく、第三者によって自発的に発信される情報メディアのことです。具体例としては、SNS投稿、ブログ記事、レビューサイトへの評価、口コミなどが挙げられます。
“Earned(獲得された)”という言葉が示すように、消費者や外部メディアによって自発的に情報が取り上げられることから、信頼や注目を「獲得」するという意味合いが込められています。また、広報・PRにおける基本フレームワーク「PESOモデル」でも、アーンドメディアは主要な構成要素として位置づけられています。
- ペイドメディア(Paid Media):広告など、費用を支払って露出を得るメディア
- アーンドメディア(Earned Media):第三者によって発信される情報メディア
- シェアードメディア(Shared Media):SNSなど、ユーザー間で共有されるメディア
- オウンドメディア(Owned Media):Webサイト、ブログなど、自社で管理・運営するメディア
PESOモデルについての詳細は以下の記事を参考にしてください。
なぜ今、アーンドメディアが注目されているのか
アーンドメディアが近年注目されている背景には、情報発信のあり方や消費者の価値観の変化があります。
特に、Z世代を中心に、企業による一方的な広告メッセージに対する信頼が低下しており、実体験に基づくレビューや、第三者の客観的な評価に価値を感じる傾向が強まっています。
SNSやレビューサイト、動画プラットフォームの普及により、誰でも情報を発信・共有できる時代になったことで、「信頼性」や「透明性」がより重視されるようになりました。
このような時代背景の中で、企業の評判や商品に関する情報は一瞬で広まりやすくなっており、信頼性の高い情報源として、アーンドメディアの存在意義が改めて注目されています。
アーンドメディアの種類と具体例
ここでは、アーンドメディアの主な種類と、その特徴について具体的に解説します。以下は、実際のマーケティング施策でも頻繁に活用されている代表的なアーンドメディアの例です。
- ニュース・メディアへの掲載:取材で得られる信頼と拡散力
- SNS投稿:拡散性とユーザー参加型の強み
- レビュー・口コミ:消費者の本音が信頼を生む
- キュレーションメディア:関心層にリーチしやすい仕組み
- プレスリリース:メディア露出の出発点
それぞれの特徴や活用のポイントを見ていきましょう。
ニュース・メディアへの掲載:取材で得られる信頼と拡散力
有料の広告記事ではなく、取材や話題性によってニュース・メディアに取り上げられるケースがアーンドメディアに該当します。
テレビ、新聞、Webニュースなど、多くの人の目に触れる媒体に自社が紹介されることで、大きな認知効果が期待できます。そのためには、媒体ごとの編集方針に合わせて、ニュース性や話題性のある切り口で情報を提供することが重要です。
SNS投稿:拡散性とユーザー参加型の強み
SNSもアーンドメディアとして、大きな影響力を持っています。
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINEなどのSNSは一般ユーザーからインフルエンサーまで多様な人が情報を発信できるため、幅広い層にリーチ可能です。
これらのSNSは、特に拡散力が高く、注目を集めやすい新商品やキャンペーンのプロモーションに適しています。ただし、SNSはシェアードメディアと分類されることもあるため、目的に応じた使い分けが必要です。
シェアードメディアについては以下の記事で詳しく解説しています。
レビュー・口コミ:消費者の本音が信頼を生む
食べログ、価格ドットコム、ホットペッパービューティーなどの消費者の生の声が集まるレビューサイトも、アーンドメディアの代表です。企業の発信よりも、実際に利用した人の率直な声は信頼されやすく、消費者の購買判断に大きな影響を与えます。Googleマップの口コミ機能も同様に重要な情報源です。
キュレーションメディア:関心層にリーチしやすい仕組み
SmartNews、Newspicks、グノシーなどのキュレーションメディアは、情報を収集・再編集して配信するメディアです。特定の関心を持つユーザーにリーチできるため、自社の取り組みや製品との親和性が高いテーマに沿った情報を発信することで、効果的にターゲット層に届けることが可能です。
プレスリリース:メディア露出の出発点
企業発信の情報がアーンドメディアへと発展する入口として機能します。
プレスリリースを通じて発信するニュースや成果は、他メディアでの取り上げにつながる重要な手段です。新製品の発表、パートナーシップの報告、受賞歴などをタイミングよく伝えることで、第三者メディアに注目される機会が生まれます。
アーンドメディアを活用するメリット
ここからは、アーンドメディアの主なメリットについて紹介します。
- 情報がバズりやすく、短期間で拡散可能
- 第三者発信による客観性と高い信頼性
- ユーザーとの直接的なコミュニケーションが可能
- 低コストで広範囲なプロモーションができる
- SEO効果を高める「被リンク」も期待できる
それでは、これらのメリットについて順番に詳しく見ていきましょう。
情報がバズりやすく、短期間で拡散可能
SNSなどのアーンドメディアでは、投稿が瞬時に多数のユーザーに届く仕組みが整っているため、うまく注目を集めることで爆発的に拡散する、いわゆる「バズる」現象が発生しやすくなっています。
特に、タイムリーな話題やユニークな切り口、共感を呼ぶ内容を含めることで、ユーザーによる自主的なシェアやコメントが促され、短時間で多くの人々に情報が届きます。また、インフルエンサーの協力を得ることで、その効果はさらに高まります。
第三者発信による客観性と高い信頼性
アーンドメディアの最大の特長のひとつが、その「客観性」です。情報が企業自身によるものではなく、第三者(ユーザー、ジャーナリスト、インフルエンサーなど)によって発信されるため、読者や視聴者は利害関係のない立場からの意見や感想として受け取りやすくなります。
例えば、商品のレビュー記事や実際の使用動画などは、広告的な表現ではなく、体験に基づくリアルな声として捉えられます。そのため、情報の信憑性が高まり、購買行動やブランド評価にポジティブな影響を与える可能性が大きくなります。また、複数の第三者が似た意見を発信することで、情報の信頼度はさらに強化されるという側面もあります。
ユーザーとの直接的なコミュニケーションが可能
SNSを活用すれば、ユーザーと直接やり取りすることが可能です。これは、従来の一方通行的な情報発信とは異なり、相互コミュニケーションによってユーザーとの関係性を深めるチャンスとなります。
コメントへの返信、引用リポスト、DM(ダイレクトメッセージ)などを通じて、ユーザーの声にリアルタイムで応えることで、ブランドへの信頼感や親近感が高まります。ユーザーからの質問や要望に丁寧に対応する姿勢は、企業イメージの向上にもつながります。さらに、ユーザーの投稿にリアクションを返すことで、ファンとの絆を強め、継続的な支持を得ることが可能になります。
低コストで広範囲なプロモーションができる
アーンドメディアは、企業が直接広告費をかけずに情報を拡散できる手段であるため、非常にコスト効率に優れています。特に、SNSや口コミ、レビューサイトなどは無料で活用できるため、予算が限られている中小企業やスタートアップ企業にとっても重要な情報発信チャネルとなります。
加えて、一度有益な情報や話題性のあるコンテンツが自然発生的にシェアされれば、その拡散は継続的かつ自動的に行われる場合があります。例えば、SNSでバズを生み出せば、広告を打たなくても数万~数十万のユーザーに情報が届く可能性があります。さらに、ブログ記事やインフルエンサーの投稿が長期的に読まれ続けることで、継続的な認知・集客効果も見込めます。
このように、アーンドメディアは少ないコストで高い効果を得られる「費用対効果」の高いマーケティング手法として注目されています。
SEO効果を高める「被リンク」も期待できる
信頼性の高い外部メディアやブログ、SNS投稿などで自社のWebサイトや特定のページが紹介されると、自然と「被リンク(バックリンク)」が増えていきます。被リンクとは、他のWebサイトから自社サイトへ向けられたリンクのことで、Googleをはじめとした検索エンジンはこれを“信頼の証”と捉えます。
専門性の高い業界メディアや影響力のあるインフルエンサーのWeb記事に自社ページがリンクされると、SEO(検索エンジン最適化)における評価が向上し、検索結果の上位に表示されやすくなります。これにより、自然検索からの流入(オーガニックトラフィック)が増加し、集客面でも長期的なメリットが得られます。
さらに、被リンクは単なるSEO効果にとどまらず、そのメディアの読者からの信頼を獲得するうえでも役立ちます。リンクされることで第三者の推薦を受けた形となり、コンテンツ自体の信頼性や説得力が高まります。
被リンクについては以下の記事で詳しく説明しています。
アーンドメディアのデメリットとリスク
メリットが多い一方で、アーンドメディアにはいくつかのリスクも存在します。
まず、アーンドメディアは企業が情報発信をコントロールできないため、予期せぬ内容が拡散される可能性があります。例えば、SNS上でネガティブな口コミが広まった場合、それを抑制することが難しく、ブランドイメージに悪影響を及ぼすこともあります。さらに、悪意ある情報や誤解が広がるリスクも含まれており、対応が遅れると炎上に発展する恐れがあります。
また、アーンドメディアは他社のプラットフォーム(SNS、レビューサイトなど)上に成り立っているため、自社の資産として完全に管理・蓄積することができません。プラットフォームの仕様変更やサービス停止など外部要因にも左右される点にも注意が必要です。これらのリスクを軽減するためには、事前のリスクマネジメント体制の整備や、モニタリングの強化、緊急時対応マニュアルの策定が重要となります。
アーンドメディアを成功させるための運用ポイント
アーンドメディア(Earned Media)を効果的に活用するためには、単にSNSで話題になることを目指すのではなく、戦略的かつ継続的な運用が求められます。以下の4つのポイントを意識することで、より高い効果が期待できます。
リアクションの強化:ユーザーとの関係性を築く
アーンドメディアの鍵は、ユーザーとの信頼関係の構築です。企業公式アカウントでは、コメントやリプライへの丁寧な返信、ユーザー投稿の引用・シェアなど、双方向のコミュニケーションを積極的に行いましょう。
また、トレンドのハッシュタグや話題のコンテンツに合わせた投稿を行うことで、より多くのユーザーにリーチしやすくなります。これにより、「共感」や「好意」といったポジティブな感情が可視化され、自然な形での拡散が期待できます。
炎上対策:ポリシー策定と迅速な対応体制が鍵
アーンドメディアの性質上、ユーザーからの予期せぬ反応やネガティブな投稿が拡散されるリスクも無視できません。そのため、万が一の炎上に備えて、あらかじめ「ソーシャルメディアガイドライン」や「投稿対応ポリシー」を社内で策定しておくことが不可欠です。
具体的には、以下のような対応を準備しておくと効果的です
- 誰が、どのように情報を収集・判断し、対応にあたるのかを明確化
- 想定されるトラブル例とその対応マニュアルを用意
- 公式声明や謝罪文のテンプレートを事前に作成しておく
炎上時には、スピード感のある対応と、誠実な姿勢がブランド信頼を守る鍵になります。
モニタリングの徹底:常に世間の声を把握する
SNSやレビューサイト上の自社に関する言及は、リアルタイムで変化します。常にユーザーの声をキャッチするためには、継続的なモニタリング体制が必要です。
モニタリングでは、以下のような項目をチェックしましょう
- 商品やサービスに対する評価(ポジティブ・ネガティブ)
- 投稿のトーンや感情(感謝、批判、不満など)
- トレンド化しそうなキーワードや話題の兆し
専用のソーシャルリスニングツールを導入することで、効率的かつ網羅的な情報収集が可能になります。蓄積されたデータは、マーケティング施策の改善や新たな商品・サービス開発のヒントにもつながります。
ブランド強化:共感される情報発信でファンを増やす
アーンドメディアを通じてブランドを強化するには、ターゲットとなるユーザーに「共感される」情報発信が不可欠です。単なる商品紹介や販促情報にとどまらず、ブランドの背景にあるストーリーや価値観を伝えることで、ファン層を拡大できます。
例えば、
- ブランドの理念やミッションの紹介
- 社員の働く姿や開発秘話など、裏側を見せるコンテンツ
- 社会課題への取り組みや、サステナビリティに関する情報
といった「人間味」のある発信が、ユーザーとの心の距離を縮めます。継続的かつ一貫性のある情報発信を通じて、ブランドの世界観に共感するファンを育てていきましょう。
広告に頼らず信頼と共感を生むアーンドメディア戦略
アーンドメディアは、信頼性のある第三者の視点から情報が発信されるため、消費者にとって受け入れやすく、企業にとっては大きな拡散力と影響力を持つ重要なメディアです。広告に頼らずとも認知度や信頼性を高められることから、現代の広報・マーケティング戦略において欠かせない存在となっています。適切な戦略と準備を行うことで、アーンドメディアの力を最大限に活かすことができるでしょう。
パンタグラフではアーンドメディアを含めたPESOモデルを総合的に活用した集客戦略を実施しています。
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