KPI・KGIとは?目標を明確にするメリット・人材育成に役立つ運用法を解説
マーケティング 2023.07.07
企業のマーケティング活動において、必ずといっていいほど登場するKPIとKGI。どちらも経営指標として重要な役割を持ちますが、それぞれの違いを理解できていないと感じる方も多いでしょう。
この記事では、KPIとKGIの定義や設定方法、さらにKSFやOKRといった指標についても解説します。
マーケティング部門で戦略立案を担われているご担当者様は、ぜひご覧ください。
目次
定義:KPIとは「中間指標」KGIとは「最終目標」
KPIは「Key Performance Indicators」の頭文字を取った言葉で、日本語にすると「重要業績評価指標」という意味になります。KPIは会社や部署、チームが掲げる最終的な目標に対する「中間指標」を指しています。
分かりやすく言うと、「目標を達成するための目標」がKPIにあたります。最終目標が壮大すぎると、何から手を付ければ良いか分からなくなりますが、KPIを設定することで、「現状何からすべきなのか」が明確化され、段階を踏んで最終目標を目指せるようになります。
KGIは「Key Goal Indicator」の頭文字を取った言葉で、日本語では「重要目標達成指標」という言葉になります。KGIは、達成すべき「最終的目標・ゴール」を指しており、来期の売り上げや会社・チーム創設の理由となった「目指すべきあるべき姿」がKGIに設定されます。
中間目標であるKPIを達成した先に行きつく先が、KGI達成というイメージです。
KPI・KGIの設定をすることで、今抱えている問題や何となくの目標を明確に言語化できます。例えば、「会社の売り上げを伸ばしたい」という目標があるとして、「いくら伸ばしたいのか」「なぜ売り上げを伸ばさなければならないのか」を考え、KPI・KGIを設定することで、目標達成に向けての行動が取りやすくなります。
また、目標の明確な言語化は「チームの共通認識」を生み、方向性が定まる効果も期待できます。
KPIはKGIから逆算して設定する
必ず、KGIを設定してからKPIを設定するようにしましょう。KGIは最終目標、KPIは中間指標である以上、KPIはKGIから逆算して設定していく必要があります。もし、KPIから先に設定してしまうと、目標に関係ない中間指標を設定してしまうこともあり得ます。
最終目標であるKGIに対して、「達成するには何をしなければならないのか」「何の数字を上げれば最終目標に近づくのか」などを考えてKPIを設定するようにしましょう。
ちなみに、KPIの設定は1つとは限りません。クリアすべき中間指標は複数存在するものなので、MECE(モレなくダブりなく)を意識して設定すると効果的です。
図のようなKPIツリーについて詳しくは「KPIツリーとは?重要性や作り方、作成に役立つツールを理解しよう」で解説しています。
人材・組織を成長させるKPI・KGIの設定方法
KPI・KGIの設定ポイントは理解できても、実際に設定する際にどのように進めたらよいか分からないとお悩みの方も多いでしょう。本項ではKPI・KGIの設定に役立つ具体的な手法を紹介します。
現状解決すべき問題もしくは企業理念を明確にしてKGIを掲げる
始めに達成するべき大元の目標を明確にし、KGIを設定してください。KGIは、主に現状の会社・チームに不足しているもの、求められている売り上げなどが挙げられます。
「契約応諾率を5%から10%に上昇させる」「来期の売上1,000万円を達成する」など、明確に言語化・数値化されたものを掲げることが好ましいです。KGIが明確であると、何をすればKGIを達成できるかを想定しやすくなり、KPI設定もしやすくなります。
そのため、KGI設定時は現状抱えている問題や上層部から降りてきている目標、会社の理念などを洗い直してから設定するようにしましょう。
KPI設定は「SMART」を意識して組み立てる
KPIを設定する際に役立つフレームワークに「SMARTモデル」があります。
SMARTモデルとは、Specific(明確である)、Measurable(測定可能である)、Achievable(達成可能である)、Relevant(最終目標との関連性)、Time-bound(期限が明確である)の5つの頭文字から取ったものです。この5つの項目を満たしているKPIを設定するように心がけましょう。
それぞれの詳細を以下にまとめています。
項目 | 詳細 |
Specific(明確である) | 誰がみても理解できる。具体的で明確である。 |
Measurable(測定可能である) | 達成度合いを測定できる。定量化されている。 |
Achievable(達成可能である) |
理想・願望ではなく現実的に達成可能である。 |
Relevant(最終目標との関連性) | 場当たり的ではなくKGIと密接に関連している。 |
Time-bound(期限が明確である) |
いつまでに達成するか期日が明確である。 |
KPI設定のコツは期限を明確に設けること
目標は、明確な期限を設けないと、達成が後回しになり「達成までに時間がかかる」「設定したKPIを忘れる」といった事態を招きます。そうならないために、KPI設定をした際は、「いつまでに達成できるのか(期限)」を明確に決めておきましょう。
KPIを設定する相手(部下やチームメンバー)と、いつまでに達成できるのかを話し合って決定するのも良いでしょう。
KPI・KGIを設定するメリット
KPI・KGIの重要性について解説しましたが、そもそもKPI・KGIを設定するメリットにはどのようなことが挙げられるでしょうか?
ここでは、KPI・KGIを設定する具体的なメリットを解説します。
目標の明確化ができ、チームの方向性が定まる
KPI・KGIを設定することで目標が明確になり、組織・チームとして進むべき方向性が決まります。
会社である以上、目標設定は避けられないもの。とはいえ、現実味がない目標を立てたところで、チームとしての一体感も生まれません。
実現可能かつチャレンジングなKPI設定により、やるべきことが明確になり、チームのパフォーマンス最大化につながります。
また、「KPIを達成するには何をすべきか」を構想しやすくなり、目的に沿った行動ができるようになります。
目標に対する進捗度を可視化し、管理しやすくなる
KPI・KGIを設定することで、目標に対する進捗度が可視化されるため、マネジメントを行いやすくなります。KPIが曖昧な場合、メンバーが何をすべきなのか迷ってしまい、管理者も何を基準に評価すればよいか分からなくなります。
例えば、「新規開拓」「生産性向上」といった抽象的な目標設定では、具体的な評価基準が立てられません。
「作業効率化を推進してタスク消化率を10%上昇させる」「新規リードを週30件以上獲得する」といったように、具体的な数値目標を設定することで、達成度合いが明確になるため、メンバーが迷わずに動けるようになります。
優先順位を決めて動くことができる
「やることが多すぎて何から着手すればよいか分からない」といったように、業務の優先順位が付けられずに仕事の手が止まった経験がある方も多いでしょう。
KPI・KGIを設定することで、業務の優先順位を付けやすくなります。目標達成につながらない業務よりも、目標に沿った業務を優先的にこなす環境を作ることで、会社の利益に直結する、重要なタスクから効率よく消化できます。
メンバーのモチベーションの維持
人が集中しやすい状況というのは、やるべきことが明確になっているときです。締め切りや自分がやるべきタスクが明確だからこそ、集中して乗り切ろうとするものです。つまり、適切なKPI・KGIはメンバーのモチベーション維持に貢献します。
ただし、現実味のないKPI・KGIはかえってモチベーションを下げる要因になりますので、メンバーの力量や期待度も含めて適切な設定が重要です。
KSF・OKRって何?押さえておきたい関連キーワードを解説
KPI・KGIのほかにも、よく混同しやすい指標としてKSF・OKRがあります。以下ではそれぞれの詳細を解説しますので、ぜひ押さえておきましょう。
KSFとは
KSF(Key Success Factor)とは、重要成功要因のことです。自社の目的を達成する際に、必要な要因を洗い出す際に用います。KPIと混同されがちですが、定量で示されるKPIと異なり、KSFは定性的で数値化できないことが特徴です。
例えば、「クロスセル受注率130%アップのために、商品メニューを増やす」がKSFです。KSFは目的達成のために必要な要素であり、具体的なKPIを考える前に洗い出すのがおすすめです。
OKRとは
OKR(Objectives and Key Results)とは、目標と主要な成果のことを言います。OKRは目標管理方法のひとつで、目標設定を高い頻度で設定・追跡・再評価するのが特徴です。
例えば、数カ月単位に目標を分け、それぞれ成功かどうかを測るための具体的な数値の指標を設定。これを基に採点し、社員を再評価します。
OKRのメリットには以下が挙げられます。
- 展開が早く、見直しが容易:目標サイクルが短いため、スピーディに進められる。進捗状況に応じて変更・調整が可能
- 目標設定に時間がかからない:OKRの目標はシンプルであることが前提なので、目標設定に時間がかからず即実行可能
- 目標に集中するためモチベーションが維持しやすい:ひとつの目標に特化して取り組むため、集中力が高まりモチベーションを維持して取り組むことが可能
時代の変化が早く、何が正解か分からない現代においては、長期的な計画は上手くいかないことも多いので、短いサイクルでスピーディに計画・実行・評価を繰り返すことが重要です。そのため、OKRは時代に合った手法として注目されています。
まとめ:目標の明確化をするためにKPI・KGIを活用しよう
本稿では、KPI・KGIの概要から両者の違い、使い方のポイントまで解説してきました。
事業経営において目標は必要不可欠です。具体的な目標が明確になることで、目指すべき方向が定まりますし、曖昧なゴール設定はモチベーション低下の原因にもなりかねません。
企業規模にかかわらず、成長し続ける組織には、常に明確なKPI・KGIが設定されているもの。質の高いKPI・KGIの設定が事業の成功を決めるといっても過言ではありません。
今回ご紹介した内容を参考に、自組織のKPI・KGI設定について、見直してみてはいかがでしょうか?
もし、KPI・KGIの設計にお困りの場合は、ぜひパンタグラフにご相談ください。
パンタグラフでは、インターネット事業を中心とした戦略立案に向けて、課題抽出から企画提案まであらゆるサポートを実施しています。
相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
関連する記事