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「中途半端なものは、つくらない」が生部流。 パンタグラフの制作の裏側

インタビュー 2026.06.22

「中途半端なものは、つくらない」が生部流。 パンタグラフの制作の裏側

こんにちは、平野です。今日は、パンタグラフの企画制作・開発グルでデザイナー兼ディレクターを務める生部さんにお話を伺いました。社内でも信頼され、数々のクライアント案件を支えている生部さん。
今回は、生部さんの仕事へのこだわりと、その源泉、そしてAI時代にどう向き合っているかについて聞いてみました。

肩書きは「デザイナー」。でも、やってることはちょっと違う

「名刺の肩書きはWebデザイナーなんですけど、デザインらしいデザインをがっつりやってたのって、実はそんなに長くなくて」

えっ、そうなの?と思うかもしれませんが、生部さんの仕事は、その肩書きだけでは収まりません。コーディングもやれば、戦略ミーティングにも出るし、ワイヤーフレームもかじってきた。「今はどちらかというと、ディレクションの仕事の方が多いですね」とのこと。

そんな生部さんのキャリアの出発点は、デザイン系の大学でした。デザイナーを志して入った学校で、けれど、ある気づきがあったそうです。

「本格的にやってる人たちと比べると、これは敵わないな、と思って。それで、もともと興味のあったコーディングの方に進もうと思ったんです」

新卒で入った前職は、研修がとても充実した会社。8〜10ヶ月かけてじっくり技術を身につけたあと、大手通信キャリアの現場に常駐します。Web制作だけでなく、当時制作の担当者がいなかったメルマガ業務や、メルマガの配信基盤の変更に伴う独自のコードの調査・分析などを対応していったんだとか。

その現場で出会ったのが、今のパンタグラフのメンバーである塚田さん。戦略ミーティングで顔を合わせるうちに面識ができ、「ちょっとやってみない?」の一言が、転職のきっかけになりました。

「自分にできることは何か」を探し続けてきた

生部さんの話を聞いていて印象的だったのが、自分のポジションややるべきことを自分で見つけにいくという姿勢です。

常駐先には、美術大学出身の同期がいました。「デザインでは絶対に敵わない」と感じた生部さんは、では自分にできることは何か、を探した。たどり着いたのが、人がやりたがらないコーディングや、担当者のいなかったメルマガ業務だったといいます。

「合わないなと思ったものは、必要じゃない限りはあまりやらない。逆に、“これ困ってるから誰かやってくれない?”みたいな仕事を、ちょっと拾いにいくところはありましたね」

苦手を無理に克服するのではなく、求められている場所に、自分のできることをフィットさせていく。だから、新しく覚えることが多くても苦にならなかった。「必要なものが生まれる環境にいたから」と、生部さんはあっさり。

でも、これってすごいことだと思うんです。“必要だと気づくこと”自体、本当は簡単じゃない。やらずに逃げることも、「できません」と言うこともできる。それでも「これはやったほうがいい」を見つけて、自分で手を動かしにいく。──そのスタンスが、次の話につながっていきます。

工数を度外視してでも、やる

ある案件でのこと。パートナー企業の進行がうまく回りきらず、このままでは後工程の確認がどんどん遅れてしまう、という局面がありました。本来、生部さんの役割の範囲外。けれど、生部さんは動きます。

「無駄かもしれないけど、やったほうがいいと思ったことは、工数を度外視してでもやる。そういうのは、よくやりがちですね」

パンタグラフには、見積もった工数の中できっちり成果を収める、というプロフェッショナルの規律があります。「だから自分は、ちょっとそのスタンスからずれてるかもしれない」と生部さんは笑いますが──聞いている側からすると、これはむしろ「一度いいと思ったら、とことんやる」というパンタグラフらしさそのものだな、と感じました。

「お客さんが困っていたり、腑に落ちていないところがあったら、そこに寄り添う。どうしたら改善できるかを考える。納品もなるべく遅らせない。やれる範囲で最大限のことをしてあげたい。それは、こだわりとしてありますね」

派手さはないけれど、こういう人が裏側にいてくれたら、お客さんはどれだけ安心するだろう。そう思わせる話でした。

こだわりの源泉は「クリエイター気質」

なぜ、そこまでやりきるのか。理由を聞くと、少し考えてから、こう答えてくれました。

「やっぱり、クリエイター気質なんだと思います。デザインをずっとやってきたので、ものを完成させる、ちゃんとやりきる、というところは強く意識していて。自分が納得できるところまでやれているかを、いつも見ている気がします」

その基準は、ひとりよがりではありません。

「たとえばデザインAとBがあって、他社のものと見比べて“向こうのほうがいいな”と思ったら、それは自分のデザインに何か問題があるということ。じゃあどうしたら解決できるか、を考える。自分が良くないと思うものは、絶対お客さんも良くないと思うはずなので」

デザイナーが上げてきたものに、自ら手を入れて調整することもあるそう。「デザインでは敵わない」とコーディングの道に進んだはずの生部さんの根っこには、いつだって、つくり手としての譲れない感覚が息づいているんですね。

AI時代、自分の価値をどう出す?

最後に、避けては通れないテーマ──AIについても聞いてみました。デザインもコーディングもディレクションも、急速に「AIで」と語られるようになった領域です。

「正直、これはちゃんと向き合わないとな、と思っていて」

率直な言葉でした。「ディレクターはいらない、という未来も見えてきている状況なので。どうしたら自分の価値を出せるのか、最近よく考えるようになりました」

それでも、生部さんには手応えのある仮説があります。AIに置き換えにくい価値とは何か──その答えを、彼女は「人と組織」に見出していました。

「お客さんって、一人の個人と向き合っているようで、その後ろには意思決定する人がいたり、組織の構造があったりする。人にはそれぞれ癖があるので、その癖を踏まえて、自分の信念も持ちつつ、パートナーとして一緒に進めていく。成果と、組織と、向き合っている個人と、その全部の折り合いをつけながらプロジェクトを前に進める。そこは、AIには難しいんじゃないかな、と思っていて」

ものをつくるだけでなく、プロジェクト全体が前に進むために「ここはこうしたほうがいい」を見にいく。生部さんのこだわりは、まさにこの“折り合いをつける力”に宿っているのだと感じました。

「AIをうまく使う、AIでより良いものをつくる、というのもそうなんですけど。それだけじゃない、その上の、置き換えられない価値をどうつくれるか。そこは、これから目指していきたいところです」

まとめ:生部流・仕事のこだわり3つのポイント

  1. 中途半端なものはつくらない
    やると決めたら、納得できるところまでやりきる。納品を遅らせず、やれる範囲で最大限を。
  2. 「やったほうがいい」を、自分から拾いにいく
    役割の線引きを超えてでも、プロジェクト全体が前に進むために動く。
  3. AIに置き換えられない価値を目指す
    組織や人の機微を理解し、信念を持ったパートナーとして、成果・組織・個人の折り合いをつけていく。

静かにパソコンに向かう背中の奥に、これだけ熱いものを持った人がいる。一緒に仕事をしたことのある人だけが知っている、生部さんの“泥臭さ”。その一端が、少しでも伝わっていれば嬉しいです。

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