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キャンペーン期間中にサイトがダウンする理由と、AWSでの防止策

制作/開発 2025.12.25

キャンペーン期間中にサイトがダウンする理由と、AWSでの防止策

製品発表会、季節キャンペーン、大規模な広告出稿など、企業にとってキャンペーン期間は最も重要な集客・問い合わせのタイミングです。しかし、このような時期にウェブサイトが停止すると、広告費や営業機会の損失、さらにはブランドイメージの低下につながります。

本記事では「なぜキャンペーン時にサイトがダウンするのか」、そして「どのようにAWSを活用して防止できるのか」を整理します。

キャンペーン時にサイトが落ちる主な原因

はじめに、キャンペーン期間にサイトが落ちる主な原因を解説します。

サイトダウンが起こる要因一覧

突発的なアクセス集中

新製品やサービスの発表日、季節キャンペーン、SNSや広告で話題になったタイミング、メディア掲載やプレスリリース後など、サイトへのアクセスが一時的に通常の数十倍に増加することがあります。

このような場合、従来型や共有サーバーでは CPU・メモリ・同時接続数の制限により処理が追いつかず、データベースの遅延やページ表示不可などが起こります。これらは、ビジネス機会の損失につながるリスクといえます。

インフラ設計の不十分さ

インフラ設計の不十分さもサイトダウンにつながる要因です。どのような設計だと“不十分”となるのか、主な3つを解説します。

単一サーバー構成で負荷分散がない

サーバーが1台しかない場合、アクセスが集中した際にすべてのリクエストがその1台に集中します。その結果、サーバーのCPUやメモリが限界に達すると、ページの表示が遅くなり、最悪の場合はダウンしてしまいます。

特に、キャンペーンや広告によって一時的にアクセスが増えた際には、問い合わせフォームや購入ページが利用できなくなることがあります。

どのサーバーを用意すれば良いのか分からない方は「Webやアプリのサービスを提供する上で、サーバーの種類や値段を知っておこう!」を参考にしてみてください。

キャッシュやCDNを利用していない

ページや画像などのコンテンツを毎回サーバーで生成・配信していると、サーバー負荷が高まりやすくなります。

特に、CMSではデータベースへのリクエストが集中しやすく、処理待ちが発生してページが開かなくなることがあります。

読み込みが遅くなることでユーザーが離脱し、キャンペーン効果が十分に発揮できないリスクがあります。

OSやミドルウェアが古いまま運用されている

OSやWebサーバー、データベース、PHPなどが古いバージョンのままだと、性能やセキュリティ面で制約が生じます。

それにより、最新機能が使えず、負荷処理や接続管理を十分に行えない場合があります。さらに、セキュリティの脆弱性が残ったままになると攻撃を受けやすくなり、顧客情報や問い合わせデータが危険にさらされる可能性があります。

CMSやアプリケーションの制約

インフラ設計が十分でも、CMSやアプリケーションに制約があると、サイトダウンが発生します。CMSやアプリケーションにおける制約は、主に以下の3点です。

プラグインやテーマの過剰利用・重さ

WordPressや独自CMSで多数のプラグインや機能豊富なテーマを導入すると、サーバー負荷が高くなります。特に、キャンペーン期間中にページリクエストが増えると、プラグインの処理やテーマのレンダリングがボトルネックになり、表示速度が低下します。ページの表示が遅かったり一部機能が正しく動作しなかったりすることで、ユーザー体験が損なわれ、問い合わせや購入の機会損失につながります。

データベースへのアクセス集中

CMSは、多くのページ生成や動的コンテンツにデータベースへのアクセスを必要とします。同時アクセスが増えるとDBで処理待ちが発生し、ページ表示が遅れたりタイムアウトしたりします。高トラフィック時にフォーム送信や検索機能が遅れると、リード獲得やコンバージョンなどのマーケ施策の成果に直接影響します。

システム設計・拡張性の制約

CMSやアプリケーションがスケーラビリティを考慮して設計されていない場合、サーバーの追加や負荷分散の導入が難しくなります。その結果、アクセスが集中した際にサイト全体のパフォーマンスが低下し、キャンペーン期間中の安定運用が難しくなります。

CMSは「CMSとは?会社の顔でもあるホームページ制作でCMSが絶対に必要な理由とは」、アプリケーションは「Webアプリケーションとは?仕組み・Webサイトとの違い・開発の流れを解説」で詳しく解説しています。

 

システム設計のイメージ

 

セキュリティ・設定面の問題

セキュリティや設定の問題もサイトが落ちる大きな要因です。

DDoS攻撃による障害

DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃:Distributed Denial of Service attack)とは、複数のコンピューターからWebサイトやサーバーへ過剰なアクセスやデータ送信を大量に行うサイバー攻撃です。

悪意のある第三者が大量のリクエストを一斉に送信することで、サーバーやネットワークに負荷が集中します。これにより、正常なユーザーがサイトにアクセスできなくなるだけでなく、サーバー自体が応答不能になることもあります。

特に、キャンペーン期間中はアクセス増加と重なり、通常のトラフィックの影響か攻撃の影響かの判別が困難になります。

WebサーバーやDBの設定ミス

サーバーやデータベースの設定が適切でない場合、アクセス集中や想定外のリクエストにより障害が発生しやすくなります。

例えば、同時接続数の上限設定が低い、キャッシュやタイムアウト設定が不十分、DBのインデックス設計が不適切といった問題が考えられます。これらの設定ミスにより、ページ表示の遅延やフォーム送信不可、データベースエラーが発生するリスクが高まります。

総合的なビジネスリスク

セキュリティや設定面の不備は、単なるアクセス遅延だけでなく、顧客情報の漏えいや問い合わせ機会の喪失にもつながります。キャンペーン時の信頼性低下は、ブランドイメージや売上に直接影響する可能性があります。

 

サイトダウンによるビジネスへの影響

キャンペーン時のサイトダウンは、一時的な技術トラブルにとどまらず、集客・売上・信頼・組織運営に広く悪影響を及ぼします。

特に、アクセスが増える期間は被害が拡大しやすく、広告費の回収不能、ブランド信頼の毀損、社内リソースの逼迫といったリスクが顕在化します。

ここでは、それぞれの影響を具体的に解説します。

サイトダウンによるビジネスへの影響の例

広告費・キャンペーン投資の損失

キャンペーン期間中にサイトがダウンすると、広告やSNS施策で集めたアクセスがすべて無駄になります。

例えば、大規模なリスティング広告やSNS広告を出稿しても、リンク先が表示されなければクリック課金型広告の費用は回収できず、ROI(投資対効果)はゼロになります。さらに、キャンペーンで予定していたリード獲得や問い合わせ数の目標達成も困難になります。

ブランド信頼の低下

サイトが閲覧できないことで、顧客や潜在顧客に「アクセスできない会社」という印象を与えてしまいます。

特に、BtoB企業では信頼性が重要であり、一度失われた信頼は回復に時間がかかります。結果として、競合他社に顧客が流れ、将来的なビジネスチャンスも損なわれる可能性があります。

BtoBマーケティングについては「BtoBマーケティングとは?戦略・実施方法・考え方を成功事例を基に解説」をご覧ください。

社内リソースへの影響

障害発生時にはマーケティング部門やIT部門が対応に追われます。その間、本来の業務(キャンペーン運営、コンテンツ制作、営業サポートなど)が滞り、全体の生産性が低下します。

特に、小規模チームでは、障害対応に多くの時間を割くことで、他の重要施策への影響が大きくなるリスクが高いです。

 

サイト安定化のためのAWSによる解決策

キャンペーンやピーク時でも安定稼働させるには、拡張性・可用性・セキュリティを一体として設計することが重要です。

AWSを活用すると、サーバー台数の自動調整、グローバルなコンテンツ配信、冗長化による高可用性、WAFやShieldによる攻撃対策を統合的に実現できます。

以下で、具体的な解決策を順にご紹介します。

AWSで出来る対策

なお、AWSについては「AWSとは?アマゾンウェブサービスの料金を安く便利に使う方法を一挙公開!」で詳しく解説しています。

オートスケーリングによる柔軟な拡張性

オートスケーリングとは、アクセスが増えたときにサーバーを自動で増やし(scale out)、アクセスが少ないときにサーバーを減らす(scale in)仕組みです。

キャンペーンなどで急に訪問者が増えても、手動でサーバーを追加する必要がなく、サイトを安定して運営できます。

また、最低・最大のサーバー台数を設定できるため、平常時は不要なサーバーを減らしてコストを抑え、必要なときだけサーバーを増やすことで効率的に運用できます。

サーバーは、Webサイトの条件や状況に応じてカスタマイズ可能です。「コスト3分の1を実現したAWSサーバ構成を大公開!」では自社事例を基にサーバー構成を解説しているので参考にしてみてください。

グローバル配信と負荷軽減

Amazon CloudFrontを使ったCDNにより、Webサイトの画像や静的ページを世界中の拠点から配信できます。これにより、遠方のユーザーでも高速表示が可能になり、オリジンサーバーへの負荷を大幅に軽減できます。

動的なページは完全にはキャッシュできませんが、ヘッダーやフッター、ナビゲーションなど、すべてのユーザーで共通の部分は部分的にキャッシュすることも可能です。これにより、アクセス集中時でもサーバー負荷を抑えつつ、ユーザーに快適な閲覧体験を提供できます。

高可用性アーキテクチャ(サービス停止リスクの低減)

高可用性アーキテクチャでは、サーバーやデータベースを1箇所だけでなく複数の場所(アベイラビリティゾーン)に分けて運用します。万が一、1つのサーバーや場所で障害が発生しても、別の場所でサービスを継続できるため、サイトが止まるリスクを大幅に減らせます。

さらに、Amazon RDSのフェイルオーバー機能を使えば、データベースに障害が発生した場合でも自動で別のデータベースに切り替わるため、重要な情報へのアクセスが途切れることなく、キャンペーン期間中も安定運営が可能です。

セキュリティ対策(不正アクセス・攻撃からの保護)

AWS WAF(Web Application Firewall)を使うと、悪意のあるリクエストや不正アクセスを自動でブロックできます。

また、AWS Shieldを利用すれば、DDoS攻撃のように大量の不正アクセスが一斉に押し寄せても、サイトが停止するリスクを大幅に低減できます。これにより、キャンペーン中でも安心してサイトを運営でき、顧客や潜在顧客に信頼性の高いサービスを提供できます。

 

セキュリティ対策のイメージ

 

安定した企業サイト運営のための設計と運用のベストプラクティス

安定した企業サイト運営には、平常時ではなくピーク時を前提にした設計と、CMSの最適化、継続的なモニタリングと事前検証、計画的な運用・保守を組み合わせることが重要です。

ここでは、スケーラビリティ・パフォーマンス・セキュリティ・コストの観点から、実践的な手順と判断基準を解説します。ベストプラクティスを押さえることで、キャンペーン期でも快適なユーザー体験を安定して提供できます。

安定した企業サイト運営のための設計と運用のベストプラクティスまとめ

平常時だけでなく「キャンペーンやピーク時」を基準に設計

通常のアクセスだけでなく、キャンペーンや広告でアクセスが集中するピーク時を想定してインフラを設計します。

想定アクセス数を事前に試算し、サーバー構成や負荷分散を組むことで、サイトがダウンするリスクを減らせます。これにより、広告費やキャンペーン投資を無駄にせず、ユーザーに快適な体験を提供できます。

CMSの最適化

キャッシュプラグインやオブジェクトキャッシュを導入し、ページやデータベースへのアクセス負荷を軽減します。

また、不要なプラグインや重いテーマを削除してCMS自体を軽量化することで、アクセス集中時にも高速表示を維持できます。日常運用でもサイト表示の安定性が向上し、ユーザー体験の向上とサーバー負荷軽減を同時に実現できます。

モニタリングと事前検証

AWS CloudWatchなどの監視ツールでアクセス状況やサーバー負荷をリアルタイムに監視し、問題が起きそうな場合にアラートを受け取れる体制を整えます。

あわせてロードテストを実施し、ピーク時やキャンペーン時のアクセスに耐えられるかを事前に確認することで、障害を未然に防げます。

運用・保守体制の強化

定期的にCMSやサーバー、ミドルウェアのセキュリティアップデートを行い、攻撃や障害のリスクを低減します。キャンペーン成果やアクセス状況に応じてサーバーやリソースの構成を最適化し、コストを抑えながら安定運用を維持します。

 

まとめ

キャンペーン時のサイトダウンは、機会損失とブランド毀損を招く大きなリスクです。AWSの機能を活用することで、柔軟な拡張性・高可用性・強固なセキュリティを実現でき、そのリスクを最小化できます。

弊社では、AWSインフラ設計からCMS最適化、運用保守まで一貫してサポートいたします。キャンペーン対応サイトのご相談はぜひお気軽にお問い合わせください。

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